山本由伸 15球でファンの心つかんだ初回3K ドジャースタジアム9年ぶり珍事も5回無失点

 カージナルス戦に先発し、5回を2安打無失点、5奪三振と好投した山本(共同)
 1回を投げ終えベンチでタッチを交わす山本(共同)
 先発したドジャース・山本(共同)
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 「ドジャース5-6カージナルス」(30日、ロサンゼルス)

 ドジャースの山本由伸投手(25)はカージナルス戦に先発し、5回を2安打5奪三振無失点と好投したが、メジャー初勝利はならなかった。1回5失点と乱れた韓国での21日・パドレス戦から一転、復調した姿をみせた。「2番・指名打者」で出場した大谷翔平選手(29)は延長十回2死満塁の好機で凡退し、5打数1安打だった。試合は延長十回、5-6で敗れた。

 グラブを叩いて感情を爆発させた。待ちわびた本拠地ドジャースタジアムの初登板。「歓声もすごいですし、すごく気持ちよくピッチングできました」。山本が雨と寒さの悪条件の下、5回2安打無失点の快投を披露した。

 最高の立ち上がりだった。初回、ドノバンをカーブで凍り付かせて見逃し三振を奪うと、続く22年MVPのゴールドシュミットを宝刀フォークでバットに空を切らす。返す刀で3番ゴーマンを空振り三振。圧巻の15球で地元ファンを熱狂させると、マウンド上でグラブをパーンと叩いた。

 待ちわびたのは、本拠地初登板だけが理由ではない。デビュー戦となった21日の韓国でのパドレス戦。制球を乱して1回を4安打2四死球5失点でKOされた。韓国から戻った後は時間をかけてじっくり調整。登板日も当初予定の第2戦ではなく、1日遅らせた。

 「少しずついい感覚が出てきているのもあったし、変な焦りとか不安はそこまでなかったが、前回の登板は失敗していたので、今日まではすごく長かった」。韓国ではセットポジションのグラブの位置をへそのあたりにしていたが、オリックス時代と同じ胸の前に戻した。打者を追い込んだ後は「エイッ!」と声を上げて投げる呼吸法を実践。一球入魂のピッチングで敵をねじ伏せた。

 四回終了後に雨が強くなり、35分間、中断。山本は首脳陣と話し合って続投を決断し、再開後の五回も得点を許さず、勝利投手の権利を持って降板した。リリーフがつかまり初星はお預けとなったが、復調を示した68球となった。

 「日本で登板してきた時と同じことをやろうと。いい投球ができる時の自分の気持ちとか、そういったところを再確認して落ち着いていきました」と原点回帰を強調した山本。「次はもっともっといいピッチングができるように練習していきたい」。投手史上最大の12年3億2500万ドル(当時レートで約463億円)の契約を結んだ右腕の快進撃がここから始まる。

 ◆雨中断は9年ぶり ドジャース-カージナルスは四回終了後に雨のため35分間中断。晴天に恵まれることが多いロサンゼルスでは珍しく、MLB公式サイトによると、ドジャースタジアムでの天候による中断は9年ぶりだった。

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