「ダイヤモンドバックス９－１０ドジャース」（３０日、フェニックス）

　人類初の金字塔を打ち立てた。ドジャースの大谷翔平選手（３０）が３０日（日本時間３１日）、敵地でのダイヤモンドバックス戦の二回に４３盗塁目をマークすると、八回には２試合ぶりの本塁打となる４３号ソロ。「４３本塁打－４３盗塁」はＭＬＢ史上初の快挙。残り２７試合。夢の「５０本塁打－５０盗塁」が現実味を帯びてきた。

　マウンド上の右腕・シーウォルドは観念した。９３マイル（約１４７キロ）の直球に大谷のバットが伸びる。乾いた衝突音。角度よく左翼方向に舞い上がった打球を振り返ることはなかった。左翼・グリエルが懸命にジャンピングキャッチを試みたが、白球はグラブの先の左翼席に吸い込まれた。

　確信歩きではなく、駆け出した大谷は一塁を回ったところで右手を突き上げた。どよめく敵地。ざわめきと拍手が交錯するスタンド。本塁に生還するとベッツとタッチを交わし、フリーマンとはお辞儀ポーズからのハイタッチを繰り広げた。

　２年連続の本塁打王に向け、２位のオズナ（ブレーブス）に６本差をつけた一撃。２８日のオリオールズ戦で史上２人目となる「４２本塁打－４２盗塁」に到達し、１９９８年のＡ・ロッド（当時マリナーズ）に肩を並べていたが、一気に追い越した。

　前日こそ３試合ぶりの無安打に終わっていたが、中堅後方を襲った初回の中飛など感覚は悪くなかった。この日は初回に右翼線二塁打を放つと、二回の第２打席で右肘への死球。一瞬痛そうにうずくまったが、エルボーガードが衝撃を吸収したようで、すぐに立ち上がって一塁へ向かうと、１死一、三塁から悠々と二盗を決め、４３盗塁をマークしていた。

　長いメジャーの歴史の中で、これまで破られてこなかった重い扉を大谷がこじ開けた。大リーグ公式Ｘ（旧ツイッター）は「大谷翔平は今、５０－５０まで残り７本塁打－７盗塁」と紹介。ドジャース公式Ｘも「大谷翔平が止まらない」とポストした。

　ロバーツ監督は「彼はインクレディブル（信じられない、素晴らしい）だ。これ以上、たたえる言葉が見つからない。彼はインクレディブル」と大絶賛した。

　同一地区２位のライバルに最後は１点差まで迫られたが、何とか逃げ切ってゲーム差を「５」に広げた。残り２７試合、大谷が自身初となる地区制覇、リーグ優勝、ワールドチャンピオンに向け、自慢のバットと足でさらにチームを加速させていく。