レイズ・マドン監督の好采配に期待
ア・リーグのワイルドカード(WC)争いは混戦状態が続く。22日(米国時間)、トップのレイズがオリオールズを3-1で撃破し、86勝69敗、勝率・555でWCプレーオフ進出の機会はほぼ掌中にしたと考えられる。
WC決戦の相手はこの日、アストロズに9-2で大勝したインディアンスが有力で、86勝70敗、勝率・551と勢いに乗る。一方、ダルビッシュを擁するレンジャースは予想に反して終盤の失速が災いし、この日もロイヤルズに4-0の完封負けと、WC争いから陥落が濃厚だ。
ここでレイズについて改めて紹介すると、1998年大リーグ拡大球団として風光明媚なフロリダ州セントピータースバーグに創設された。本拠地は、多目的体育施設として建造されていた密閉型ドームを改装した球場のトロピカーナ・フィールド。初代監督はL・ロスチャイルド氏(現ヤンキース投手コーチ)で98~01年初頭まで在籍した。
名物オーナーのステュワート・スターンバーグ(投資家)は子供ころ、父親に連れられてニューヨーク・メッツのシェースタジアム(現シティーフィールド)でメジャーを観戦以来、大リーグ球団経営に魅せられたようだ。来場のファンには「駐車場無料」、「食料品の持込みOK」などメジャー初の寛大なサービスを実施している。
さて、現指揮官ジョー・マドン監督(59)とは85年のアリゾナ教育リーグに参加した際、メサのジーン・アゥトリィーパークで紹介されたのが初対面だった。ちなみにジーンさんはカントリーミュージックの歌手兼俳優で一世を風靡し、エ軍の球団オーナー。その名を冠したマイナー施設が上記のパーク名となった。
その後、マドン氏はエ軍マイク・ソーシア監督のベンチコーチを務め、2006年からレイズの監督を務めている。08年、現ヤクルトの岩村明憲内野手を擁し、レ軍史上初のワールドシリーズ進出を果たしたが、指揮官チャーリー・マニエル(ヤクルト、近鉄在籍)のフィリーズに1勝4敗で苦汁を飲まされた。10年、11年(WC)とア・リーグ地区シリーズで敗退した。
今季は昨年のサイ・ヤング賞受賞の左腕D・プライス(28)が左上腕痛で故障者リスト入りなどで8勝8敗ながら、プレーオフでは快投への期待が高まっている。
左腕のM・ムーア(24)は一昨年の地区シリーズの快投で新人王候補にも挙がった先発筆頭候補だ。今季は15勝4敗、防御率3・34。父親は空軍ヘリコプター操縦士で沖縄・嘉手納基地で少年時代を過ごした日本大好き人間だ。
くしくも三塁ベースコーチのトム・フォーリー氏も青森県三沢基地と座間基地で少年時代を送っている。2006年にトロピカーナ・フィールドで会った際には「コンニチハ」と挨拶され、上記に駐在していたことを知った。愉快な男だ。
秘密兵器は、一昨年途中にカブスから移籍の右腕C・アーチャー(25)だ。昨年メジャーデビューし1勝をマーク。マイナー(3A)で139奪三振を記録。1試合平均9・8個だ。武器は最速157キロの速球、鋭く落ちるスライダーとチェンジアップ。今季7月の月間MVP投手部門で5試合に先発し、2完封を含む4勝0敗、防御率0・73で初選出され、月間新人MVPも同時受賞した有望株だ。
他に12勝9敗の右腕J・ヘリク(26)、10勝3敗の右腕A・コブ(25)と、守護神右腕F・ロドニー(36)。WBCでも活躍したロドニーは今季5勝4敗36セーブ、防御率3・76.セーブを挙げた瞬間に左手を空に向け、矢を引き絞るようなしぐさが人気を呼んでいる。
打撃部門では主砲E・ロンゴリア三塁手(27)がナインをリードしている。後は脇役が勝利に貢献している無駄のない戦力が宝だ。
マドン監督の好采配と強運を祈念したい。