今プレーオフは「下克上」の様相

 アスレチックスの本拠地オークランドのオー・ドットコー・コロシアムで行われた対タイガースの地区シリーズ2連戦をTV観戦した。

 初戦はア・リーグ最多の21勝(1敗)を挙げたシャーザー投手の速球とチェンジアップでかわされ、ポストシーズン最多の11三振を喫して黒星。

 第2戦は新人先発右腕S・グレイ投手(23)が登板し、絶妙の制球で8回を111球、4安打、2与四球、9奪三振、無失点と、サイ・ヤング賞受賞のバーランダー以上の力投を披露。後続を守護神G・バルフォアー投手(35)に託して降板した。

 グレイのメジャーデビューは今年の7月10日。最近10試合で5勝3敗、防御率2・85だ。スタンドの4万8292人の大観衆から大歓声を浴びていたのが印象的だった。

 このグレイは1989年11月にテネシー州ナッシュビルに生まれた。高校時代からフットボールと野球の両方で大会に優勝したことのある「ツゥーウエイ・プレーヤー」で、名門バンダービルト大に進学。すぐにカレッジワールドシリーズ制覇に貢献した身長180センチ、体重91キロの右腕だ。

 1911年のドラフト1巡目(全体18位)で指名され、契約金154万ドルでアスレチックスに入団。

 同年傘下のアリゾナルーキーリーグ、2Aミッドランドでプレーしたが、制球が乱れ、球威も落ちる絶不調。ところが、12年に武器の球速(カッター)も97マイル(約156キロ)と復活。さらに、「ノックアウトカーブ」と呼ばれる決め球とチェンジアップで三振を奪う右腕で、先発2番手どころか、救世主になるかもしれない。

 ゲームに戻ろう。0-0で迎えた9回裏、1死満塁からS・ボート捕手(28)が三遊間を抜く左前ヒットを放ち、劇的なサヨナラ勝利で沸きに沸いた。

 同捕手はカリフォルニア州出身でアズサパシフィック短大出身。2007年のドラフト12巡目でレイズ入団の右投げ左打ち。強肩と守備力を買われてア軍に移籍したビリー・ビーン好みだ。

 メジャーデビューは昨季の4月6日で、最近10試合は打率・160、4安打、22打点、8三振と不振だったが、ポストシーズンの桧舞台でヒーローになった。

 さて、指揮官であるボブ・メルビン監督(51)は名門カリフォルニア大学バークレー出身の捕手で、タイガース、ジャイアンツ、レッドソックス、ヤンキースなどメジャー7球団でプレー。監督経験はマリナーズ(03~04年)、ダイヤモンドバックス(05~10年)、07年に地区優勝を飾り、最優秀監督賞受賞の頭脳派だ。

 くしくも、私の親友、現ア軍スカウト部長のエリック・クボタ氏はメルビン監督と大学の同窓生。奇縁だ。

 一方、指導者として特筆したいのが打撃コーチのチリー・デービス(52)だ。カリブ海の国、ジャマイカのキングストン生まれの強打者として、ジャイアンツ、エンジェルス、ツインズ、ヤンキース、などでプレーした。大リーグ通算19年で350本塁打をマークしたスイッチヒッター。世界一制覇は3度、ツインズ(1991年)とヤンキース(98~99年)。

 私とは、ジャイアンツのマイナー時代のキャンドルスティックパークでのミニキャンプで一緒に汗を流した仲だ。2012年、メルビン監督に誘われてア軍の打撃コーチに就任。若手育成術を心得ており、貧打建て直しのプロでもある。

 ちなみに、日本時間7日にピッツバーグで行われたカージナルス戦で、パイレーツが5-3で常勝球団に連勝。今プレーオフはまさに「下克上」の様相だ。

 1勝1敗で迎える敵地デトロイトでの第3戦は、現地時間8日(日本時間9日)、ア軍先発右腕パーカー(12勝8敗)vsタ軍先発右腕サンチェス(14勝8敗)の対決となる。

 メジャーファンの読者の皆様、是非ともこの対決をテレビ観戦でご堪能ください。(10月7日更新)

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