投手はガスリー、捕手はペレスに注目
「2014 SUZUKI 日米野球」が12日に開幕する。06年の大会以来8年ぶりとなる。実に楽しみだ。今回は観戦ガイドとして現時点でのメジャー側のメンバーを紹介したい。
【監督】
指揮を執るのはボストン・レッドソックスのジョン・ファレル監督(53)だ。
現役時代は投手でインディアンス、エンゼルス、インディアンス、タイガースで116試合に出場し36勝(46敗)を挙げた。ブルージェイズ監督(11~12年)を務め、13年にレ軍の監督に就任すると、前年最下位のチームをワールドシリーズ制覇に導いた。
【投手】
ジェレミー・ガスリー(35)=右右=カンザスシティ・ロイヤルルズ
先発で、150キロ前後のフォーシーム、ツーシームの直球とチェンジアップを武器にする。緩急をつけた粘りの投球が持ち味のベテランだ。(今季成績 13勝11敗、防御率4・13。背番号「11」)
クリス・カプアーノ(36)=左左=ニューヨーク・ヤンキース
ダイヤモンドバックスを皮切りに4球団を渡り歩いて今季、7月24日にヤ軍に移籍したジャーニーマン。武器は最速140キロ中盤の直球に、シュートをストライクゾーンの四隅に巧みに投げ込む、技巧派だ。(今季成績 40試合、3勝4敗、防御率4・35。背番号「26」)
ランディ・チョート(39)=左左=セントルイス・カージナルス
97年、ヤンキースに入団、00年にメジャー昇格。01年に初勝利を挙げて以来、3球団を経て昨季からカ軍で活躍。左の強打者殺しを得意とする。(今季成績 61試合、2勝2敗、防御率4・50。背番号「36」)
【捕手】
サルバドール・ぺレス(24)=右右=カンザスシティ・ロイヤルズ
14年、好調・ロ軍を支えてきた若き捕手で、今後の活躍が期待されている。守備動作は俊敏で、パスボールが少ない。肩の強さ、送球の正確さも抜群である。(今季成績 打率・260、17本塁打、70打点。ベネズエラ出身。背番号「13」)
【内野手】
エリック・アイバー(30)=右両=ロサンゼルス・エンゼルス
遊撃手。広い守備範囲と強肩が持ち味で、打撃面はフリースインガーだが、パワーに乏しく選球眼が悪い。11年にゴールドグラブ賞を受賞。(今季成績 打率・278、7本塁打、68打点。背番号「2」)
アルシデス・エスコバル(28)=右右=カンザスシティ・ロイヤルズ
遊撃手。出塁率が極めて低いが、いざ出塁すれば俊足でダイヤモンドを駆け抜ける。13年に22回の盗塁すべてを成功させ、球団記録を達成。広い守備範囲と強肩を誇る。(今季成績 打率・285、2本塁打、50打点、31盗塁。背番号「2」)
エバン・ロンゴリア(29)=右右=タンパベイ・レイズ
三塁手。近年、ケガによる離脱が多いものの、走攻守すべてのレベルが高い。チームリーダーとして人格を兼ね備えている。11年シーズン最終戦のヤンキース戦ではサヨナラホーマーに放ち、勝負強さを見せつけた。主なタイトルは09年にシルバースラッガー賞、ゴールドグラブ賞は09、10年と連続受賞。(今季成績 打率・253、22本塁打、91打点。背番号「3」)
ベン・ゾブリスト(33)=右両打ち=タンパベイ・レイズ
両打ちで毎年、四球率10%を超える選球眼を持つ。20本塁打のパワー、15盗塁のスピードに加え、バッテリー以外のポジションをこなすことができるユーティリティープレーヤーだ。中でも二塁、右翼の守備は一級品。(今季成績 打率・272、10本塁打、52打点。背番号「18」)
ロビンソン・カノ(32)=右左=シアトル・マリナーズ
広角に打ち分けるシュアな打撃と安定した守備を武器とする二塁手。第3回WBCでドミニカ代表として出場し、チームを優勝に導き、MVPに選出された。13年の暮れ、マリナーズと総額2億4000万ドルの10年契約で合意。主なタイトルはシルバースラッガー賞3回、ゴールドグラブ賞2回。(今季成績 打率・314、14本塁打、82打点。背番号「22」)
ホセ・アルトウ-ベ(24)=右右=ヒューストン・アストロズ
身長が167・6センチで現役大リーガーで最も低い。初球から振っていき、あまり四球を選ばないアグレッシブな二塁手だ。今季は首位打者(・341)、最多安打(225)、盗塁王(56)のタイトルを獲得した。この3つのタイトルを同時に獲得したのは01年(マリナーズ)のイチロー以来。(今季成績 7本塁打、出塁率・377。背番号「27」)
ジャスティン・モルノー(33)=右左=コロラド・ロッキーズ
一塁手。ツインズ時代の06年にMVPを獲得するなどリーグを代表する一塁手だった。しかし、10年に脳震とうを起こしてから不振が続いていた。かつて同僚だったカダイヤーの誘いでロッキーズに加入した。今季は開幕から好調で自身初の首位打者を獲得した。(今季成績 打率・319、17本塁打、82打点。背番号「33」)
カルロス・サンタナ(28)=右両=クリーブランド・インディアンス
三塁手。抜群の選球眼を誇り、4年連続90四球を達成。今季は自身最多となる113四球を記録した。20本塁打以上打てるパワーを備えているが、打率が低いという欠点を併せ持つ。今季は捕手から三塁へコンバートされた。(今季成績 打率・231、27本塁打、85打点。背番号「41」)
【外野手】
アダム・ジョーンズ(29)=右右=ボルティモア・オリオールズ
中堅手。3年連続で打率・280、20本塁打、80打点、2桁盗塁と主要打撃部門で安定した成績を残す。第3回WBCではアメリカ代表として出場、12年から3年連続で球宴にも選出された。主なタイトルはシルバースラガー賞(13年)、ゴールドグラブ賞3回。(今季成績 打率・281、29本塁打、96打点。背番号「10」)
プライス・ハーパー(22)=右右=ワシントン・ナショナルズ
左翼手。ロドリゲス、グリフィー・Jr.といった高卒全体1位指名のスター選手と比較される逸材。12年に19歳でメジャーデビューし、その年の球宴に出場。シーズンでは史上2人目の10代20本塁打を記録した。12年の新人王。(今季成績 打率・273、13本塁打、32打点。背番号「34」)
【総評】
投手陣ではガスリーが先発として力を発揮するだろう。リリーバーも悪くない。和田毅はケガから立ち直って4勝を挙げた。カ軍が再契約したように、まだまだやれる。マリナーズの岩隈久志も追加登録された。
注目して欲しいのは捕手のペレスだ。今後、メジャーを代表する捕手になっていくだろう。一発もある。
野手陣もメジャーのレギュラーがそろった。走攻守のどれをとっても一級品だ。是非、8年ぶりの日米野球を堪能してもらいたい。
(デイリースポーツMLB解説委員・牛込惟浩)
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牛込惟浩(うしごめ・ただひろ)1936年5月26日生まれ、78歳。東京都出身。早稲田大学を経て64年、大洋ホエールズに入団。渉外担当としてボイヤー、シピン、ポンセ、ローズなど日本球界で大活躍した助っ人たちを次々と獲得し、その確かな眼力でメジャー球界から「タッド」の愛称で親しまれた。2000年に横浜ベイスターズを退団。現在はデイリースポーツMLB解説委員。