内川は試合中から涙…連覇は「通過点」
「ソフトバンク5-3西武」(17日、ヤフオクドーム)
優勝へのマジックナンバーを1としていたソフトバンクが快勝し、127試合目で2年連続17回目のリーグ優勝を達成した。今季からチームのキャプテンに任命された内川聖一外野手(33)は、試合終了前からすでに涙。強烈なプレッシャーを感じたシーズンを駆け抜け、栄冠に酔いしれた。
リーグ連覇まであと1アウトとなった瞬間、内川は左翼の守備位置で、早くも目を真っ赤にし、潤ませていた。マウンドのサファテが1球投げるたびに、ユニホームの袖で涙をぬぐった。そして最後の打者となった秋山の打球が中堅手・柳田のグラブに収まると、あふれる涙はもう止まらなかった。
試合後の会見で内川は「まだ試合が終わってなかったんで、自分の中でも我慢しなければいけないと思ったのですけど…」と照れ笑い。そして一瞬、表情を引き締め、「シーズン中にいろんなことを考えましたし、感じましたし、最後までやり通せたという安心感も自分の中ではありましたし…チームとして優勝できてホッとした部分はあります」と、受けていた重圧を吐露した。
日本一のチームのキャプテンを任された、優勝できて安心した。
14年はシーズン最終戦で優勝を決めるなど、リーグでは苦しんだ。それでも日本シリーズでは阪神を4勝1敗と圧倒し、日本一に。そして秋山幸二監督が退任し、新たに就任した工藤公康監督から、新たにキャプテンに指名された。
日本一チームのキャプテンを引き受けた以上、連覇は至上命題。任命した工藤監督も「本当につらいところを彼1人で背負い込んでもらったところもあると思います。4番として、キャプテンとして、苦しい思いはたくさんしたと思う」と、内川の苦労を代弁した。
個人成績では、昨季の打率・307、18本塁打に比べ、今季はここまで打率・285、11本塁打と低下。昨年まで7年連続打率3割超え(歴代3位タイ)を継続してきたが、その更新にも黄信号がともっている。
だが、それを越える喜びが、内川にはあった。工藤監督の優勝インタビューで「まだまだこれから、キャプテン、クライマックスも日本シリーズもあるんだから頑張るぞ!」と呼びかけられたことについて、「うれしかったですね。やっぱりキャプテンをやってくれという話をしていただいてから、自分なりにどうするべきかずっと考えてましたし、自分の中でその答えが出ないままやってしまった時期もあったので…。監督の方から、おまえのチームだと思って、やりたいようにやってくれと言う声を掛けてもらいまして、自分の中で吹っ切れた部分もありますし、みんなが頑張ってくれたおかげで、僕も最後までやり通せたかなと思います」と笑顔をはじけさせた。
2年連続日本一に向け、ここからは過酷な短期決戦が続く。「今日の優勝というのは、うれしいんですけど通過点だと思ってますので、これからの戦いにまた…。喜べるのは今日までだと思いますので、明日からまた次の戦いに向けて頑張りたいと思っています」と内川。“常勝軍団”の完成へ、キャプテンの歩みはまだ止まらない。