セ最優秀真中監督の来季連覇は
ヤクルトの真中満監督が今年のセ・リーグの最優秀監督に選ばれた。新人監督ながら2年連続最下位のチームをリーグ優勝に導いた結果を見れば文句なしと言える。それでは、ヤクルトは来季も優勝できるのだろうか。各チームの戦力も確定していない中でかなり気が早い話だが、それを考えてみたい。
ヤクルトが最下位から優勝できた理由はいくつか考えられる。本塁打王の山田哲人、首位打者の川端慎吾、打点王の畠山和洋の主軸が成績を上げたことや、救援投手の防御率がリーグトップの2・67を記録した継投の安定などが大きな理由なのは間違いないが、セ・リーグが歴史的な大混戦だったこともその一つだろう。
交流戦ではパ・リーグに圧倒され、一時は全チームが勝率5割を下回るなど、今年のセ・リーグ各チームの力が低水準できっ抗していた。ヤクルトが優勝を決めたのは141試合目で、全日程終了時での2位・巨人とのゲーム差はわずか1・5。真中監督はシーズン中に「ウチにはまだ抜け出す力はない」と認めていたように、ギリギリでつかんだ栄光だった。オフには巨人、阪神、DeNAで監督が交代するなど転換期を迎えていたチームが多く、失礼かも知れないが“時の運”も味方したと言えそうだ。
来年はどうか。ヤクルトは主力に伸び盛りの若い選手が多く、優勝争いを経験したことで、さらなる成長が望める。そして、右太もも手術の影響などで15試合の出場にとどまった年間60本塁打の日本記録を持つバレンティンの稼働も増えると思われる。メジャー挑戦を表明した守護神バーネットの穴が埋まるかが気がかりだが、今年よりも成熟した、王者にふさわしい戦いが期待できそうだ。連覇に“時の運”はいらないかもしれない。(デイリースポーツ・洪 経人)