メモ魔のオリックス田口2軍監督
ノートとペンを手に、メモ魔と化していた。4年ぶりにオリックスのユニホームに袖を通した田口壮2軍監督はこの秋、徹底してチームの情報収集に励んだ。
解説者の契約が残っているため、チームに加われるのは限られた時間。そんな中で精力的に動き回った。
11月7日、自家用車を運転して兵庫県から高知市のキャンプ地へ赴くと、選手たちにあいさつ。「1・5軍、2軍レベルの選手は『今やらないといかん』という気持ちを持って、来年の春は1軍キャンプに入れてもらえるようにアピールしてもらいたい」とゲキを飛ばした。
練習中、手にしていたのはノックバットではなくノート。各コーチの考えを細かく聞いて歩いていた。
「コーチの方々と話して、どんな考え方をしているかとか、選手の特徴を把握するところから始める。1軍と2軍で違う方向を見ていては、いいチームにならないので」と、方針を把握することに精力を費やした。
1軍と2軍のパイプ役として、信頼関係を築くために小さな情報も丁寧に集める。3年間の解説者経験も影響しているのだろう。“聞く”ことをとても重視していた。
1泊2日の滞在を終えると、翌週からは神戸サブで行われていた残留組の秋季練習へ。若手の様子をくまなく見て回った。イベント出演などを終えた同17日からは、また高知入りしてチームの様子を視察した。
2軍監督の役割は、若手の技術を向上させて1軍へ送り出すこと。「何か(改善点が)あるからファームにいるんだし、万全な選手はいないと思う。下で結果を出しても、1軍で活躍できないというのもある」
選手、解説者の経験を通して「野球はメンタルのスポーツ」と力説する。「2軍と同じメンタルで1軍の公式戦やCS、日本シリーズを戦えるかというと、そんな簡単ではない」と話す。
「2軍で一生懸命に練習して1軍へ上がる。でもそこでまた、たたきのめされて2軍に戻る。また練習する。若いうちはその繰り返し」と語る。
自身が若手の時代に「一番お世話になった。プロで生きていくすべを教わった」と尊敬する福良淳一監督の下で2軍監督を務める。
「福良監督が困るくらい、多くの選手を2軍から上へ推薦できるように頑張りたい」。“師弟コンビ”の来季に期待したい。(デイリースポーツ・中野裕美子)