【野球】巨人、なぜ助っ人野手補強?
巨人は21日、新外国人選手としてキューバ代表のホセ・アドリス・ガルシア外野手との契約が合意。育成3選手を含め、総勢12人の外国人が所属することになった。
ガルシア獲得の一報に、「なぜ、今?」と思った巨人ファンは少なくないかもしれない。現在、1軍には主軸を打つギャレットとクルーズがいて、ポレダとマシソンの2投手も必要不可欠な存在。野手は2軍に左肘手術から復帰を目指すアンダーソン、開幕後に支配下登録されたアブレイユもいる。ガルシアの来日は5月中旬以降。現状は入り込むスペースが見当たらない。
堤GMは、その理由をこう説明した。「身体能力はとにかく高いし、キューバの将来の主軸といっているくらいだから」。まだ23歳と若く、将来性も十分。日本野球に適応する時間を十分に与え、来季以降の“主軸”にしたい狙いがある。
一方、チームの現状も踏まえて育成契約ではなく、支配下契約に格上げしたという。「今までの試合を見てても分かると思うけど、これから夏場になると、他球団とのしのぎ合い。中継ぎもヘトヘトになるし、点の取り合いになると思う。総力戦が毎日続くから、野手もバテてくる。今は、外国人にも負担をかけている。何があってもおかしくない。何かの時にスペアがあれば、現場も大胆な起用ができるし、安心感もあると思う」。
チームはここまで菅野以外の先発陣に不安があり、リリーフ陣への負担が増している。守護神・沢村を中心に踏ん張り、勝ちにつなげているゲームが多いが、決して盤石な試合運びをしている訳ではない。堤GMはこうした状況から、試合を消化するにつれて失点が増えることを覚悟。それを上回る攻撃力を常にキープしておきたいという考えだ。
苦い経験も早めの仕掛けに結びついた。昨季は野手陣に故障者が続出したことも、得点力低下の要因だった。堤GMは「ギャレット、クルーズの両選手がけがをする可能性もある。去年と同じにはしたくない。けが人がいて代わりがいない状況だったから、けが人が出ても代わりがいる状況を作っておかないと現場もしんどい」。アンダーソンに加え、長距離砲のアブレイユとは異なるタイプのガルシアをそろえ、不測の事態に備えた。
では、不安定の投手陣の補強は必要ないのか。堤GMはこの点についても「ピッチャーは足りないけど、マイコラスと桜井(の復帰)がそんなに遠くないので、そこまでしのいでもらえれば、後半も戦えるんじゃないかな」と説明。右肩痛のマイコラス、右肘痛の桜井はともに2軍調整中だが、この2投手が復帰すれば立て直せるという算段だ。
ガルシア獲得によって、支配下選手は68人となった。上限の70人まで残り2枠の使い道について、堤GMは「育成選手のために使いたい気持ちもある。あと2枠あるという考えもあるけど、育成選手にモチベーションを保たせてあげたい」。今季から導入した3軍もフル活用。戦力に幅を持たせて、他球団をリードしていく。(デイリースポーツ・佐藤啓)