逸ノ城が鶴竜破り史上最速金星
「大相撲秋場所・13日目」(26日、両国国技館)
新入幕の逸ノ城(21)=湊=が横綱鶴竜をはたき込みで破り、1敗を守った。初土俵から5場所目での横綱戦で史上最速の金星獲得。年6場所制となった1958(昭和33)年以降では、94年初場所の武双山が記録した7場所目を抜いた。
横綱白鵬は大関豪栄道に寄り切りで敗れ、初黒星。12勝目を挙げた逸ノ城と14日目に1敗同士で対戦する。新入幕力士にとって初の2日連続横綱戦に連勝すれば、1914(大正3)年夏場所の両国以来、実に100年ぶりとなる「新入幕優勝」がぐっと近づいてくる。
100年前の両国(東前頭14枚目)は9勝1休で、優勝を争った横綱太刀山が「8勝1休1預かり」だった。ただし、当時は年2場所しかなく東西制で不戦勝、取り直し、優勝決定戦の制度もなかったため、逸ノ城が現行制度下では「史上初」と言っていい。
逸ノ城は荒い息を吐きながらインタビューを受け「最初から決めていた。左に変わって思い切りやろうと」と、立ち合いの変化について説明。「勝ってうれしいです。(白鵬と並んで)頑張ります。一生懸命、思い切って当たります」と、対戦に向けて気合を口にした。
15日制での新入幕力士の最高成績は、横綱北の富士(64年1月場所)と関脇陸奥嵐(67年春場所)の13勝2敗。
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逸ノ城 駿(いちのじょう・たかし)本名アルタンホヤグ・イチンノロブ。1993(平成5)年4月7日生まれ、21歳。モンゴル・アルハンガイ出身。2010年に鳥取城北高へ相撲留学。同校卒業後の13年9月実業団横綱となり、幕下付け出しの資格を得る。同11月に湊部屋に入門、新弟子検査を受検。逸ノ城のしこ名は、本名の“イチ”ンノロブに逸材の「逸」をかけ、母校の鳥取“城”北から「城」を取った。今年の初場所に幕下15枚目格付け出しで初土俵。夏場所で十両優勝。得意は右四つ、寄り、上手投げ。1メートル92センチ、199キロ。愛称は「イチコ」。家族は両親と妹、弟。