冨田弁明会見、急性ストレス反応だった
仁川アジア大会期間中に韓国通信社のカメラを盗んだとして略式起訴された競泳男子の冨田尚弥(25)が6日、名古屋市内で会見を開き、同件について“冤罪”を主張した。
冒頭、弁護を担当する國田武二郎弁護士は、冨田が病院での診察の結果「急性ストレス反応」と診断されたとし、「事件以来、異国の地で無実の罪をきせられ、傷心の中帰国した。水連からは追放され(実際は選手登録の停止)、所属からは解雇され、ネット上ではいわれのない非難を浴びて、精神的に辛い状況。事件以来、辛い日々を送ってきたことをご理解いただきたい」と話した。
報道陣に配布された弁明書では、カメラが盗まれたとされる10時48分の時間帯、10時30分頃から、11時頃までの間、松田丈志(セガサミー)と雑談を交わし、「お前、早く練習しろよ」などと言われていたという。また、同時間帯に2人が会話しているのを、寺村美穂(セントラルスポーツ)も目撃しており、2人の証言も資料として添付されている。また韓国警察から発表された「カメラを見た瞬間、欲しくなった。魔が差した」という冨田の供述については、「言った事実はない」とした。
経緯
起訴状などによれば、冨田は9月25日にチームの応援で訪れた競技会場のプールサイドの報道陣エリアにあったカメラの本体(800万ウォン=日本円83万円相当)を盗んだとされている。水泳場の監視カメラの映像などを分析した結果、競泳チームの「JAPAN」のロゴが入ったTシャツを着た冨田が映っており、26日に任意同行。事情聴取を受けた結果、本人が事実を認めたという。盗まれたカメラは選手村で見つかった。冨田は「カメラを見た瞬間、欲しくなった。魔が差した」と供述したとされる。
これを受けて、同27日に日本オリンピック委員会(JOC)は、アジア大会の選手団から冨田を追放。被害者とは示談が成立し、冨田は約10万円の罰金を支払い、略式起訴された。帰国後、所属していたデサントは解雇を発表。日本水泳連盟は10月30日に、冨田を2016年3月31日までの選手登録停止処分を決定。冨田には同処分案が通知されてから2週間の間に不服申し立てができる権利があったが、申し立てはしなかった。