逸ノ城 2ケタ星目指し頑張る
来年1月11日に初日を迎える大相撲初場所(両国国技館)の新番付が24日に発表された。新関脇だった九州場所で8勝7敗と勝ち越した逸ノ城が埼玉・川口市の湊部屋で記者会見を行い、「いい感じで稽古ができている。2ケタ勝てるように頑張ります」と抱負を語った。幕下付け出しからの最速大関昇進を狙う怪物は、新三役2場所目で一気に飛躍を目指すことを宣言した。
新入幕だった秋場所で13勝2敗の大暴れ。九州場所では一気に新関脇で駆け上がったものの、秋巡業中に発症した帯状疱疹(たいじょうほうしん)などの影響でコンディションは最悪。場所直前には大阪へトンボ帰りで腰の治療に出向くなど万全にはほど遠い状態だった。出稽古にも行けず関取衆との申し合いはゼロのまま臨んだ。師匠の湊親方(元幕内湊富士)は、「すごく不安があった。勝ち越しは難しいだろうと思っていた」と覚悟した。
しかし、上位陣にはほとんど勝てなかったが、稽古不足をカバーする気力を発揮、8つの白星を手にして関脇の座を守った。「あの体調で力を出せたのは大きい。一番一番にかける集中力が高い。この勝ち越しは初場所につながるはず」と、師匠も確かな手応えをつかみとった。九州巡業を終えると、時津風部屋や追手風部屋へ精力的に出稽古に行き課題の立ち合いの改善に努めている。
今年の1月に初土俵を踏んでから、超スピード出世で三役まで上がってきた。来年はもちろん大関昇進の期待がかかる。「できればもうひとつ上を目指していきたい。場所前にしっかり稽古ができれば2ケタ勝てる自信はあります」ときっぱり。初場所で10勝以上すれば大関昇進への足がかりとなるだけに、番付発表後も追手風部屋、さらに年明けには時津風部屋への出稽古を予定している。
「焦ることなくマイペースでいけばいい。でも勢いは十分にありますよ」と、湊親方も弟子の潜在能力には太鼓判を押す。「大関にはそう簡単には上がれないもの。夢のような感じ」と地位に対する憧れを語った逸ノ城だが、「プロに入ってからは、あまりプレッシャーを感じないようになった」と強心臓ぶりも示した。新春の両国の土俵で今度はどんな旋風を起こすのか、来年もこのモンスターから目が離せない。