羽生 別次元Vで3連覇も「不完全燃焼」 宇野を意識?「最後のルッツはシニアの意地」
「フィギュア全日本選手権、第2日」(27日、長野ビッグハット)
男子フリーが行われ、ソチ五輪金メダリストでSP首位の羽生結弦(20)=ANA=がフリーでも1位の192・50点をマークし、合計286・86点で07年の高橋大輔以来の3連覇を果たした。
シニア大会デビューでSP3位の宇野昌磨(17)=中京大中京高=がフリーで165・75点を出し、合計251・28点で2位と大健闘。3位はSP6位からフリー173・29点で合計245・68点と大きく巻き返した小塚崇彦(25)=トヨタ自動車=が続いた。昨年2位でSP2位の町田樹(関大)は4位に沈んだ。
フィニッシュポーズを解いた後の悔しそうな表情は、王者のさらなる可能性だ。羽生は冒頭の4回転サルコーで転倒したが、いきなりのミスも引きずらない。続く4回転トーループを決めると、その後は正確にジャンプを決め続けた。前日のSPで失敗した最後のジャンプ、トリプルルッツも成功させ、2位の宇野に35点以上をつける異次元Vで3連覇を達成した。
もちろん満足はしない。「まあ優勝自体はうれしいんですけど、サルコージャンプをミスしてしまったのと、かなり抑え気味でフリーを通していたので、ちょっと悔しいというか不完全燃焼というか…そういう感じです」
2位に入った宇野とは小学生時代から戦っており、同期のような感覚があるという。「すごくうれしいと思うと同時に、もっとみんなで頑張んなきゃいけないな、シニアの選手らしく頑張っていかなきゃいけないなという気持ちになりました」と、シニア選手のプライドをのぞかせ「最後のルッツはシニアの意地を見せました」と、人なつっこい表情で笑った。
3月には、連覇がかかる世界選手権(上海)が控える。大会に向けての理想型を問われると「もちろんノーミスしたいという気持ちはあります。ただノーミスすることがすべてではないですし、ノーミスするために何をしていくべきか。いい演技をするために何をしていったらいいのか。そういうことを、毎日毎日過程を大事にしながらやっていきたい」。王者はまだまだ高みを目指す。