井上康生 斉藤仁氏の通夜で誓い
肝内胆管がんのため20日に死去した五輪柔道金メダリストの斉藤仁氏(享年54)の通夜が22日、大阪市平野区の斎場でしめやかに営まれ、関係者約600人が参列し、別れを惜しんだ。
柔道全日本男子の井上康生監督(36)、同強化コーチの鈴木桂治コーチ(34)、96年アトランタから五輪3連覇の野村忠宏(40)の参列後のコメントは次のとおり。
井上康生(00年シドニー五輪金メダリスト、全日本男子監督)「今は悲しくてつらいという思いだけです。日本柔道、息子さんに対してもいろんな思いがあった先生。私もいろんな思いがあり、これから学んでいきたいと思った矢先に残念でならない。でも、悲しんでやるべきことを見失っては何にもならない。遺志を受け継いで強く頑張っていかないといけない。斉藤先生が強化委員長となり私が監督となってから、『リオ五輪はリベンジだ、必ず成功する』と合言葉のように語り合った。我々は思いを受け継いでリオに向かって一層、努力をしていかないといけない」
鈴木桂治(04年アテネ五輪金メダリスト、国士舘大監督、全日本男子強化コーチ)「亡くなられてから、こっち(大阪)に来て3日がたつ。少しずついなくなってしまう時間が迫っているのかな。顔を見て線香をあげて、少しでも残り時間を近くにいたい。(私にとって)鬼のような人でした。柔道も生活も厳しく指導していただいた。頭が上がらない存在。斉藤先生のおかげで指導者の道を歩んでいけている。(斉藤氏の2人の息子に)個人的な考えですが、斉藤先生の歩んだ道を教えて指導したい思いはある。これからどういう風に成長するのか見守っていきたい。国士舘の鈴木としては柔道を発展させていく。全日本の鈴木としては斉藤先生の100キロ、100キロ超級が弱くなったと言われないよう、日本柔道は世界一ということを報告したい」
野村忠宏(96年アトランタ、00年シドニー、04年アテネ五輪3連覇)「最近、会う機会はなかった。眠られる姿を見てショックだった。アテネ五輪で3連覇に挑戦した時の男子監督で合宿、世界大会と多くの時間を過ごした。道場では厳しく、道場以外ではしょうもないことで笑わせてくれる頼りがいのある監督だった。アテネの時は僕もベテランで自信が持てなかった。でも監督が『一番、オーラを出して一番いい練習をしている』と言ってくれた。自信を持ってアテネを迎えられた。その一言は感謝。北京で4連覇を斉藤さんとやりたかったけど、できなかったのが残念です」