競歩の鈴木雄介 松岡氏にケンカ売った!
男子20キロ競歩の世界記録保持者・鈴木雄介(27)=富士通=が6日放送のテレビ朝日系の「報道ステーション」に出演し、冷静沈着なコメントを連発。インタビューした、元プロテニスプレーヤーでスポーツキャスターの松岡修造氏(47)を興奮、驚嘆、感心させた。
鈴木は3月の全日本競歩能美大会(石川)男子20キロ競歩で、1時間16分36秒の世界新記録をマークして優勝。世界選手権実施種目で日本の男子選手が世界記録を更新したのは、65年に英国のマラソン大会で重松森雄が樹立して以来50年ぶりの快挙だった。
価値ある世界新記録に周囲が驚く中、本人だけは冷静だった。「10キロ地点で(世界新が)出ることを確信していました。(世界新の)ペースを上回ってたけど疲れもないし、じゃあ出しちゃおって」。松岡氏は「出しちゃおって!世界新出しちゃおって!」と驚がく。
冷静さを指摘された鈴木が、大会に向けての練習段階で当日の記録やレース内容がある程度わかって出場すると説明。「気持ちでどうにか勝つというのはないですね」と話すと、松岡氏は「気持ちでやってない!何か僕にケンカ売ってない?」と笑いながら“威嚇”した。
続けて「限界まで出し切った!っていうのはないの?」と聞くと、鈴木は「ないですね」。松岡氏が「出し切ってないで世界新なんだ…」とショックを受けていると、鈴木は熱く「一番出し切るところはリオのオリンピックの金メダルなんで」とキッパリ。
だが、心持ちうれしそうな松岡氏に「そこはもう限界までいくんだ?」と促されると、「でも1位が決まってたら、限界までいかないですね」と笑い、松岡氏はため息。
どこまでも対照的な2人だったが、取材を終えた松岡氏は鈴木が記録や優勝を「壁」ではなく「靄(もや)」だととらえていると説明。「たたき破るものではなく、進んでいけば視界が勝手に開いていってくれる。ゴールも見えている。モヤはないです。(リオ五輪の)金メダルが見えている状態」と話したという。「もう素晴らしい。震えがくるぐらい!こういう風なら熱くならずに済むのに…」と、熱さが身上の自身とは真逆のアスリートの思考回路に感心していた。