東京五輪のエンブレム使用停止

佐野研二郎氏デザインの大会エンブレムの空港での活用例(上)と無断転用したとされる画像(SLEEPWALKING IN TOKYOのホームページから)
3枚

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は1日、ベルギーのリエージュ劇場のロゴとの類似が指摘され、同劇場などから国際オリンピック委員会(IOC)が提訴されていた東京五輪のエンブレムの使用停止を決定した。

 同エンブレムはアートディレクターの佐野研二郎氏がデザインしたが、7月24日の発表から“盗用疑惑”が浮上。先月28日に組織委が潔白証明のために公表した原案にも酷似したものが見つかり、この日、森喜朗会長、遠藤利明五輪担当相、舛添要一都知事などが臨時の調整会議を行い、使用停止を決めた。

 決定的となったのは、8月28日に組織委員会が行った会見で、公表された佐野氏の原案、そして佐野氏側が制作したエンブレムの展開例として活用した風景デザインにも“パクリ疑惑”が浮上したことだ。原案は13年に東京・銀座で開かれたタイポグラフィの巨匠「ヤン・チヒェルト」の展覧会で使用されたロゴに酷似。展開例で使用した羽田空港や渋谷の背景は別の個人のサイトで公開された写真と酷似していた。これについて、組織委員会は佐野氏側に説明を求めていた。

 同エンブレムは、7月24日の発表からすぐに、ネット上でベルギーのリエージュ劇場のロゴと酷似していることが指摘された。その後、佐野氏は「全くの事実無根。“パクる”ということをしたことはありません」と、会見で反論したが、リエージュ劇場側は使用停止を求め、IOCを提訴。その後、佐野氏が担当したサントリーのトートバッグの複数デザインにネット上の画像などをトレースしたものがあったことが発覚。佐野氏は「共同制作者」がトレースしていたことは認めたが、自身の関与は否定し、批判が強まっていた。

 エンブレム発表からわずか39日。一度発表したエンブレムの白紙撤回は前代未聞。すでにスポンサーは広告展開などに使用しており、影響は計り知れない。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス