内村 鉄棒でも金も「五輪は甘くない」
「体操・世界選手権」(1日、グラスゴー)
種目別男子鉄棒が行われ、日本のエース内村航平(26)=コナミスポーツク=が15・833点で今大会団体、個人総合に続いて3つ目の金メダルを獲得した。内村にとって種目別鉄棒での金メダルは初めて。個人総合で歴代1位となった日本選手の世界選手権最多金メダル獲得数をさらに10にまで伸ばした。
もはや内村のための大会だった。大会を締めくくる最終種目、“体操の華”男子鉄棒。内村は離れ技の屈伸コバチを鮮やかに決めると、団体決勝で落下し、個人総合では回避したG難度カッシーナもしっかりと決めるなど、力強い演技を披露。最後の着地は少しだけ動いたが、難易度を示すDスコア7・1の演技構成を持ち前の美しさとともに完遂した。
密かに狙っていた種目だった。今大会はロンドン五輪王者のゾンダーランド(オランダ)も不在。「今回は狙い目だった。ゾンダーランド選手もいなかったし」としつつ「予選から鉄棒で、自分の演技ができてなかった。最後の最後にいつもどおりの自分の演技ができたかな。初めてですね。出た種目すべてで金メダルは。なんなんでしょうね。運がよかったと思います」と、はにかんだ。
悲願の団体金メダルに、6連覇の個人総合、そして鉄棒。五輪前年の世界選手権で最高の結果を残した。ただ、“五輪の怖さ”を知る男に慢心はない。「五輪前年でこの上ない、リオにつながる良い演技ができたけど、五輪はこんな甘いもんじゃない。ここからまた出直して頑張りたい」。油断なき“絶対王者”は、リオでも主役を譲らない。