赤井ジュニア“前代未聞”の初戦突破
「全日本アマチュアボクシング選手権・1回戦」(19日、水沢体育館)
元プロボクサーでタレント、近大ボクシング部総監督・赤井英和(56)の長男・英五郎(21)=奈良県連盟、関西ブロック=が西村祐太(19)=芦屋大1年、東海ブロック=を判定3-0で破り、ミドル級1回戦を突破し8強に進出。20日の準々決勝で4強をかけ12、13年と連覇した浜崎良太(自衛隊体育学校、日連推薦)に挑む。
実戦わずか3試合目の英五郎が日本アマ最高峰の舞台で1勝を挙げた。「3戦目でなんて過去にない」と関係者が言う前代未聞の快挙を“浪速のロッキー2世”が果たした。
三重・久居高時代に高校総体、選抜で5位に入った実力者が相手。1回、緊張からか、動きが固くポイントを取られた。
リングサイドでは初めて見守る父・英和が「ナイス!いいぞ!頑張れ英五郎」と絶叫。声に応えるかのように2回、DNAが爆発した。
父に教わったジャブを丁寧に突き、強烈な右ストレートで相手をのけぞらせた。3回も突進は止まらない。手数、パワーで押し切り、逆転勝利した。
英五郎は小6より、米ハワイに留学。カリフォルニアの大学に進み、昨年2月にボクシングを始めた。9月の関西ブロック選考会でアマチュアボクサーとしてデビュー。父譲りのパワフルな攻撃力を見せ、2戦連続判定勝ち。同大会への出場切符を獲得した。
デビュー2戦を仕事で見られなかった英和は、緊張しっぱなしだった。試合は夕方ながら宿舎では早朝に起床しそわそわ。前日、岩手入りする際も東京発11時半の新幹線で東京駅に9時に到着し、先に英五郎と岩手入りしていた佳子夫人(49)に「英五郎の様子はどうや」としつこく電話した。
佳子夫人は「100回くらい電話してきた。スパーすら見たことがないから、楽しみで仕方がないんでしょう」とため息だった。
全日本は父も制していない大会。「父を超える、その一歩が全日本。優勝目指して突っ走る」と英五郎は全力で格上に挑むのみだ。80年のモスクワ五輪候補だった父は日本のボイコットで夢破れた。父の思いも背負い、20年東京五輪を目指す。