九重親方、北の湖倒して初Vの思い出

福岡国際センター前をゆっくりと走る北の湖理事長の遺体を載せた霊きゅう車(撮影・佐藤厚)
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 「大相撲九州場所・14日目」(21日、福岡国際センター)

 午後4時前、横綱白鵬の土俵入りと同時間に、日本相撲協会・北の湖理事長の遺体を乗せた霊きゅう車が福岡国際センターに到着。親方衆、同協会関係者、取り組みを終えた力士らがこうべを垂れて迎える中、車はゆっくりと敷地内を回り、最期の別れを告げた。

 その様子を、NHK大相撲中継解説席で映像を通して見届けた九重親方(元横綱千代の富士)は「昨日、体調を崩されて病院に、ということは聞いたんですけど、それから何時間後かにまさかこんなことになるとは」と神妙な表情で話した。

 北の湖理事長は20日朝、貧血のため福岡市内の病院へ救急搬送。夕方になって容体が急変し、直腸がんによる多臓器不全のため62歳で死去した。

 「こんな強い人はいないほうが頑張れるな、と思ったぐらい嫌な存在でしたね。現役のころは少しでも近づきたいという気持ちを持って大きな壁に向かって頑張ったという気持ちを今でも覚えています。大きな大きな目標となってくれた人でしたね」

 思い出されるのは、優勝決定戦で北の湖を倒して初優勝を決めた1981年初場所。「いろんなことを思い出したのでは?」と問われた九重親方は「本当ですねえ…」と言った後、涙をこらえて言葉を詰まらせた。

 しばらくして「自分が勝ったのかなって、ずっと夢の中にいるようなそんな感じでしたよね。本当に勝ったのか、あんな偉大な人に、という気持ちでいっぱいでしたね」と30年以上前の対戦を振り返っていた。

 九重親方は今年夏に早期の膵臓(すいぞう)がんで手術を受けていたことを9月に公表。7月の名古屋場所を休場したが、その後は回復し、現場復帰している。

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