羽生 SP世界新も盟友のため静寂求める
「フィギュアスケートGPファイナル・第1日」(10日、バルセロナ)
男子ショートプログラム(SP)が行われ、男子史上初の3連覇を狙うソチ五輪金メダリストの羽生結弦(21)=ANA=はほぼ完璧な演技を見せ、自身のSP世界最高記録を更新する110・95点で首位発進を決めた。
どんな状況であっても、この男の強さは揺るがない。もの悲しいピアノの旋律が鳴り止むと、羽生はニヤリと笑った。そして、自らを称えるように拍手。NHK杯での106・33点の世界記録をさらに4・62点上回る110・95点。得点を見た瞬間、両腕でガッツポーズを決めた羽生は、すぐに続く最終滑走者で、ともにブライアン・オーサーコーチに師事するハビエル・フェルナンデス(スペイン)のために、人差し指を口にあて、観客に静寂を求めた。そんな気遣いも含めて、圧巻だった。
冒頭の4回転サルコーを軽やかに成功させると、続く4回転トーループ-3回転トーループの連続ジャンプも鮮やかだった。後半のトリプルアクセルも文句なし。テンポの早いピアノの合わせて刻んだステップは、さらに切れ味を増していた。
NHK杯でSP(106・33点)、フリー(216・07点)、総得点(322・40点)と3つの世界記録を打ち立てた。特に総得点は空前絶後のスーパーレコード・322・40点をマークした。今の羽生にとって、敵は己自身。「他の選手は関係なく、自分の記録、演技を超えられるように頑張りたい。唯一無二の存在になりたい」と話していた慢心なき五輪王者の進化が止まらない。