羽生の衝撃点にフェルナンデスひれ伏す
「フィギュアスケートGPファイナル・第3日」(12日、バルセロナ)
男子フリーが行われ、SPで世界最高点を更新したソチ五輪金メダリストの羽生結弦(21)=ANA=はフリーでも自らの世界記録を更新する219・48点をマークし、総得点でも先日のNHK杯を8・03点上回る330・43点の世界最高得点を樹立。文句の付けようがない結果で、男子ではプルシェンコ(ロシア)、チャン(カナダ)の2連覇を超える史上初の3連覇を達成した。
もはや神の領域といっていい。バルセロナに降臨した陰陽師、安倍晴明は、フィギュアスケートを新たな世界へと誘った。フィニッシュで、どうだとばかりに鋭い視線を投げかける羽生に、情熱の国の観衆もただただ感嘆の拍手を送るしかできなかった。得点が表示され、3連覇が決まった後、プレッシャーから解放された21歳は、しばらくうつむいた後、喜びの涙を拭った。
冒頭から4回転サルコー、4回転トーループを決めると、一気に波にのった。正確でダイナミックなジャンプに、美しいスピン、滑らかで切れ味の鋭いステップを繰り出し、要素の1つ1つを完璧にこなしていった。
羽生の前を滑った宇野、金博洋(中国)、世界王者で地元のフェルナンデス(スペイン)とフリーでは3人続けて技術点だけで100点を超える史上空前のハイレベルな戦いとなった頂上決戦。しかし、羽生はさらに別次元にいた。ともにブライアン・オーサーコーチを師事するフェルナンデスは羽生の得点を見届けると、おどけながら地面にひれ伏すポーズで、ライバルを称えた。
次戦は日本に凱旋しての全日本選手権(札幌)。無敵の快進撃はどこまで続くのか。羽生から目が離せない。