琴奨菊 優勝一夜明け会見で笑顔満開
大相撲初場所で14勝1敗の成績を挙げ、自身初、10年ぶり日本出身力士の優勝を果たした大関琴奨菊(31)=佐渡ケ嶽=が25日、千葉県松戸市の同部屋で一夜明け会見した。
盛り上がる周囲の期待に、重圧は半端ではなかった。前夜の祝勝会も遅くまで行われ「この3日、睡眠は合計10時間くらい。強気で言ってたけど、眠れなかった」と緊張から解放された様子で話した。
10日目からは横綱3人を倒しながら、13日目、豊ノ島(時津風)に不覚。14日目、千秋楽の2日は「自分の中でやるべきことをやると言ったけど、吹っ飛びそうだった。やるこをやるんだと言い聞かせながらだった」と、精神的にギリギリだった。
新入幕から66場所で手にした初賜杯。「若い衆に新聞を全部勝って来るように頼んだ。ほんとうれしい」と笑顔満開。「こんな世界があるんだと。優勝しなければ分からない」とかみしめた。
左膝、右肩の大けがに泣き、数場所前まで勝ち越すのもやっとだった。「協会のジャンパー着てるよ、と言っていた」と昨年、引退を真剣に考えていた。
復活したのは周囲の支えがあったから。アンパンマンに自らを例え「顔を削り取られてみんなに勇気を与える。削られても新しい顔を入れ替えてくれる人がいる。多くの人がいたから、この状況(優勝)になった。その都度強くなった」と、感謝した。
この日、早朝4時に地元の福岡県柳川市に戻る前の両親を見送った。父からは「優勝インタビューで俺たちのことを言ってくれてうれしかった」と伝えられた。「親孝行できたかな」と感無量だった。
昨年7月に結婚した祐未夫人と30日に行う結婚披露宴にも最高の花を添えた。入籍時に「賜杯を抱いて一緒に写真を撮るから」と誓った約束を果たした。「土俵はすごく孤独だけど、気力面の充実は奥さんのおかげ」と感謝しかない。
30日に32歳、先代師匠(元横綱琴桜)が横綱昇進した同じ年齢で来場所は初の綱とりに挑む。「気持ちを前に向かってやっていく。いろんなものを力に変えて自信にして挑んでいきたい」と、意気込んだ。