野口、23位でリオならず「悔いはない」
「名古屋ウィメンズマラソン」(13日、ナゴヤドーム発着)
女子マラソンのリオ五輪代表選考会を兼ねた大会で、アテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずき(37)=シスメックス=は2時間33分54秒で23位に終わった。
笑顔のゴールだった。30キロ過ぎから野口を励ましたのは、沿道からに加えてともに走る市民ランナーからも次々とかかる声援だった。「応援がものすごくて最後の10キロは花道のようだった」。ナゴヤドームが見えたところで両手を広げて声援に応えると、ドームに入る直前に再び左手を挙げて感謝した。ゴールを切ると涙を浮かべて広瀬永和総監督と抱き合った。
本気でリオを狙ったレースだったが、故障がちだった近年の悪循環からは抜け出せなかった。先頭集団にいた5キロ過ぎに「足が抜ける感じ」と違和感を抱いた。「10キロくらいでは右足がピッと痛いなと。気になりながら何とか耐えた」と前を追走したが、徐々に順位を落とした。
優勝争いから脱落した後は「2年前(2013年)のモスクワ世界陸上で途中棄権したことがずっと心の中に引っかかっていた。どうしても走り抜きたいと思った」という一念だった。「前半戦で(優勝争いから)外れて悔しい思いはいっぱいある。でも、今の力で精いっぱいやってきたので悔いはない」
2002年の同大会で初マラソン初優勝。そこから天国も地獄も味わった。完走したレースの中では初の2時間30分台。それでも「ワースト記録ですけど最高のレースでした」とすがすがしい笑顔を見せた。
レース前から「最後の五輪挑戦」と話しており、今後は第一線を退く可能性が高い。しかし、この日は「終わった余韻を楽しみたい」と去就について明言しなかった。「もう少し後で考えたい。今は走り終わっておなかがすいていて思考が間に合っていないので、すいません」と冗談めかして頭を下げた。