野口 一問一答全文(中)故障で成長
04年アテネ五輪女子マラソン金メダリストで日本記録保持者の野口みずき(37)シスメックス=が15日、神戸市内で会見し、現役引退を表明した。
会見での一問一答・中編は次の通り。
-引退を決断したのはいつ?
「ギリギリまで現役はあきらめていなくて、2016年に入って思うようにトレーニングができなくて引退が頭をよぎりました。名古屋が最後かリオが最後かという形でいました。(シスメックスの)広瀬総監督に相談したのは早い段階。1年くらい前に思うようにレースに出られず、トレーニングもうまくいかなかった時に、もしかしたらリオ選考レースが最後になるか、リオになるかと。2016年は、引退をかけた年になるのでよろしくお願いしますと言いました」
-北京からロンドンを目指す4年間は故障が多かった。
「04年のアテネで金の後、北京の前年の東京国際女子もいいタイムで走って優勝できた。また(北京で)金メダルを獲って(五輪連覇の)伝説をつくりたい、今までなかったことに挑戦したいという気持ちがあった。それを考えすぎて階段から転げ落ち、どん底を見ました。『集中したいから』とあまりいい態度で取材に応じなかったこともあり、神様が一回つまずいた方がいいと思ってくれた。私にとっては必要な経験だったと思います。08年の故障を通しても成長できた。故障も必要だったと感じています」
-思い出に残るレースは。
「一番はアテネの金メダル。また、その前に出場した03年の大阪国際女子は今でもいい走りができたと思っています。広瀬(永和)監督と(前監督の)藤田(信之)さんがすごい喜んでくれた。予想していなかったタイム(2時間21分18秒)で2人の指導者をいい意味で裏切れた。いくつもあるけど、この間(今年3月)の名古屋ウィメンズも。すごいたくさんの応援をいただいた。本当の花道のようで、すごく道が輝いて見えた。一生残るようなレースをさせていただいた。その3つが心に残るレースです」
-今後のプランは。
「自分が陸上で成長できた。できる範囲で携われたらいいと思う。明確にはまだ考えていませんが、陸上界に恩返しできたらと考えています」
-自分に言葉をかけるとしたら。
「自分が納得するまで走りきれて本当によかったね。お疲れさまと言ってあげたい」
=下編へ続く=