【舩越園子の目】自然との戦いですから
「全英オープン・第1日」(16日、セントアンドルーズ・オールドコース=パー72)
初日の天気予報は晴れで、気温も上がるはずだった。だが実際は気温が下がり、風も強まり、小雨まで降ってきた。そんな初日の聖地の舞台裏は「トイレとの戦い」だった。
松山英樹の組の3人が5番でティーショットを打ち終わった直後、ジョーダン・スピースが右前方のブッシュへ向かって猛ダッシュし、観客はみな苦笑。だが、マーシャルはそれを許さず、フェアウエー左の建物を指さした。スピースは再び逆方向へ猛ダッシュ。するとダスティン・ジョンソンも猛ダッシュ。2人は数分後、すっきりした表情で戻ってきた。
後半に入ると気温はさらに下がり、トイレ争奪戦も厳しさを増した。選手用トイレはティーグラウンド脇にたった1つ。それを選手3人とキャディー3人がうまく使わなければタイムロスは必至。だから誰もが必死なのだ。
あれは13番。ジョンソンのキャディーがトイレに入った直後、ジョンソン自身はそのトイレと横の壁との隙間に立って用をたしていた。「そこ」は屋外だが、観衆からは見えないよう配慮しつつ、スピードアップしたジョンソンの敢行!?なりふり構っちゃいられない。自然と戦うのが全英オープン。首位に立ったのは、そのおかげ……ですよね、たぶん。(在米ゴルフジャーナリスト)