【舩越園子の目】最少スコア記録の岩田
「全米プロ選手権」(14日、ウィスリングストレートツC=パー72)
メジャー史上最少スコアに並ぶ「63」をマークし、全米プロ初出場にしてコースレコードを更新した岩田寛。だが、ウキウキした様子を見せず、飄々(ひょうひょう)としていたところが岩田らしかった。
「らしい」と言っても、私が彼の「らしさ」を垣間見たのは先月の全英オープンのときのこと。予選落ちした岩田は「いいときと悪いときの波が大きすぎる。上ばっかり見てるからダメなのかな。下に合わせればいいのかな」と、ぼやくように話してくれた。しかし、岩田が見ているものはやっぱり「上」だし、そうあるべきだろう。
快進撃の真っただ中で、彼は後半「27」を目指していた。実を言えば記録のことは「知らなかった」が、それはさておき、なぜ「27」を目指したかと言えば「29は何回も出してるし、全部バーディーなら27だから」。
後半「29」。それでもメジャー4大会で史上25人目、27例目の「63」をマークして歴史に名前を載せたというのに「たった1日のことなので、早く切り替えたい」。1日ではなく4日間を終えたときに名を残したいという意味。見上げた心意気ではありませんか。
この4日間の先には来季の米ツアー出場権が見え隠れしているはず。やっぱり顔は常に上げ、上を見ていてほしい。岩田がとても楽しみな存在になってきた。(在米ゴルフジャーナリスト)