元阪神中込氏、テレビで八百長完全否定
台湾のプロ野球八百長事件で詐欺罪により懲役1年8月、執行猶予4年の判決を受けた元阪神タイガースの中込伸投手(42)が21日、TBS系「爆報THEフライデー」にVTR出演し、あらためて「やってない」と八百長への関与を完全否定した。妻、娘2人も画面に登場し、「弁護士に罪を認めれば帰国できると言われた。(八百長は)やっていない、(お金も)もらっていないものを認めるのはつらかったが、家族のために罪を認めた」と話した。
兵庫県西宮市内で番組の取材に応じた中込さんは、黒いTシャツにアーミー柄のハーフパンツ、ビーチサンダル姿。「本当は(八百長のことを)しゃべりたくないんですけどね」と切り出した。
中込さんは、監督やコーチを務めていた台湾の「兄弟」球団在籍時の08~09年の5試合での八百長の罪を問われ、2010年10月の一審、12月の控訴審ともに有罪判決を受けた。公判でも否認した起訴事実を最終的にすべて認める形で決着し、1月に執行猶予の条件である罰金180万台湾元(約510万円)を納付。渡航制限が解除され、11年2月に帰国を許された。
関西空港では「やってもいないことを認めなきゃいけないのは辛かった。でも家族の生活を考えると、早く日本に帰らなければと」と改めて無罪を主張。「やっていないという点を皆さんに分かってもらえるよう、日本で活動していきたい」と話していた。
番組では、自宅マンションを公開。妻・美加さん(50)、長女・杏樹さん(18)、次女・麻里衣さん(13)も顔出し出演してコメントした。中込さんは、ある日突然球団関係者に呼び出され「八百長やっただろ」と詰問されたという。「勉強熱心」だと思っていた知り合いである投手(当時)に、先発ローテーションの仕組みなどを教えてあげていたが、その情報が賭博グループに流れ、八百長に利用されていた。
金銭の授受に関しては、その後輩に呼び出されて食事をした帰りに、「タクシー代」と言われ、に日本円で5千円や1万円をもらったことを認めたが、八百長の“謝礼”だとは思いもよらなかった。中込さんは「脇が甘かった、という部分はありますね」。台湾の野球選手の平均年俸は約100万円という。
無罪を訴え続けるつもりだったが身柄拘束から9カ月後、弁護士に「裁判は2年以上かかる」「もし罪を認めれば、執行猶予がついて帰国できる」とすすめられ、悩んだ挙げ句、「帰国して家族を養うために…」と「やってもいない罪、もらってもいない金」を認めることを決断したと明かした。中込さんが帰国するまでの間、衣類や車など家財道具を売って生活費の足しにしていた妻・美加さんは「絶対そういうことをする人じゃない、と信じていました」と話した。
中込さんは帰国後、運送会社の深夜の仕分け業務のアルバイトをし、貯めた300万円で昨年12月、甲子園球場から300メートルの距離に焼肉店「伸」をオープンしている。