山田洋次監督 芝居の世界導いてくれた
歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが5日に亡くなり、映画「男はつらいよ」シリーズなどで知られる山田洋次監督が談話を発表した。
山田監督は勘三郎さんから「ぼくが元気で、息子たちが青年のうちに『連獅子』をあなたの監督で記録に残したいのです」とオファーを受けたことを明かし、「戸惑っているうちに『文七元結』の演出も引き受けることになってしまい、そこから引き続き(勘三郎さんの姉の)波乃久里子さんつながりで劇団新派の演出、といった風にぼくを芝居の世界に連れ出してくれたのは勘三郎さんだった」と故人との思い出を振り返った。
「才能のある人たちを組織し見事な演劇的世界を作り上げることをしたこの人の偉大な功績は、演劇史に大きく記されることだろう」と、たたえた。また「落語ダネで長屋の物語を歌舞伎俳優を連ねて映画化する企画があり、勘三郎さんの役も決まっていて『あれ楽しみですね』と語ったのが最後の会話になってしまったが、あの時の爽やかな笑顔をぼくは一生忘れないだろう」と故人の死を悼んだ。