「圭子の夢は夜ひらく」などのヒット曲で知られる歌手の藤圭子さんが２２日午前、東京都新宿区のマンションの高層階から転落し、死亡した。６２歳だった。

　警視庁新宿署は飛び降り自殺を図った可能性があるとみて慎重に調べている。

　元夫の前川清は「突然のことで、言葉になりません」と短くコメントするのが精一杯。２人は１９７１年に結婚し、翌年に離婚。短い結婚生活だった。前川は離婚から２８年を経た１９９９年、デイリースポーツの連載記事「前川清　問わず語り」で「お互いがなかなか分からなかった」などと２人の生活を振り返った。同年２月１１日のデイリースポーツ記事から一部を引用する。

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　藤は昭和４４年に「新宿の女」でデビュー以来、「圭子の夢は夜ひらく」など矢継ぎ早にヒットを飛ばした。前川もまた、同じ年に「長崎は今日も雨だった」が爆発的にヒット。そのスター同士が昭和４６（１９７１）年８月２日、佐世保市俵町教会で電撃的に結婚するのである。

　〈今考えると、２人ともタレントだったことで、結婚生活では自分自身がさらけだせなかったんじゃないかな。お互いがなかなか分からなかった。スター同士の結婚と周囲から言われても、本人たちは実感がないわけだしね。周りに作り上げられてしまったのかな、とも思います〉

　４６年のＮＨＫ紅白歌合戦には、これまでに例がないだろうと言われた夫婦そろっての出場が決定。本番を前に自然気胸のため緊急入院した前川に代わって、前川が歌う予定だった「港の別れ唄」を藤が歌い、会場とお茶の間を沸かせた。しかし、翌年離婚。

　〈自然な形で別れることになったのかなとも思う。その後お互い再婚し、それぞれに幸せになっているのが一番うれしい。自分の意思でなく、作り上げられたイメージでつらいこともあったけど、お互いが結果的に良くなっていればいい。数年間は佐世保に行くと歌の話ではなく「結婚式見に行ったよ」と言われるばかりだった〉

　前川は過去を淡々と話せる。