佐村河内氏弁護士 聴力確認不足を謝罪
佐村河内守氏の代理人を務める折本和司、若松みずき両弁護士が12日、佐村河内氏の謝罪文とともに、「受任当初からの経緯」を説明する文書をマスコミ各社にファクスで送った。
それによると、両弁護士は2月4日に初めて佐村河内氏と会い、「新垣隆氏に楽曲の依頼を行っていたこと」「にもかかわらず、テレビやインタビュー等で自身が作曲しているように振る舞って名声を得るようになっていたこと」が事実であり、謝罪したいという意思を確認した。
その際、佐村河内氏から「週刊文春の記事が翌日にはマスコミ関係者に出回るので、その前に、弁護士名で記者発表を行ってほしい」「この発表によって、レコード会社や出版会社、ツアー企画会社などの関係者に大きな被害が及ぶので、そういった被害が出来るだけ拡大しないようにしてあげてほしい」との要望が出たという。
さらに佐村河内氏は「直前に迫ったフィギュアの高橋大輔選手の演技にまで悪影響が及ぶ可能性があるので、それだけは何とか防いでほしい」とも要望した。
そして佐村河内氏の聴力については「若いころに聴覚障害となり、今も全然聴こえない」との説明があり、手話通訳も「長くお付き合いがあるが、不自然なことはなく、聴こえていないと思います」と言葉を添えたという。
6日の新垣氏の会見の直後、折本弁護士が報道陣に対して「医学的に見てどうかということがわからないので確実なことはいえない」としながら、「障害者手帳の存在や、通訳の方の説明、当職らの印象などをもとに『耳が聴こえないのは本当だろうと思う』という趣旨の説明をしておりましたことは、結果としては誤っており、当職らの確認不足でした」と謝罪した。
その後、佐村河内氏に問いただしたところ、「3年前くらいから、聴力が回復して来ており、耳元で、はっきりゆっくり話してもらえればこもって歪んだ感じではあり、体調にもよるけれど、言葉が聴き分けられる時がある」と告白し始めたという。
これに対して両弁護士は耳鼻科の専門医に見解を聞いたところ「器質的な原因で聴力が2級相当まで失われているのであれば、それが限定的とはいえ、言葉が聴き分けられるまで回復する可能性は低いのではないか。たとえば、原因が精神的なショックによるものであれば、そういったこともあるかもしれない」との説明を受けた。
これを元に、両弁護士はさらに佐村河内氏との面談を行ってきたがその後、本人の説明に変化はなく「本人は、今後、専門医の診断、検査を受けてもいいということですので、現在、当職らにおいて、中立な立場で診断、検査を行っていただける専門医をあたっております」と、聴力に関してはなお事実の究明に努めている。
また両弁護士は、経過説明の中で他の問題についても触れた。
「被爆二世であるか否かについては、ご両親の被爆手帳を確認したので、その点は間違いありません」
「佐村河内氏の妻が新垣氏との関係を承知していたかどうかについては、本人が謝罪文の中でも触れているように、そのような事実はないとのことです」
「『新垣氏への指示書が本人の筆跡ではなく、妻の筆跡である』との指摘がありますが、当職らがその場で打ち合わせ中に筆跡を確認したところ、少なくとも『交響曲第1番』の指示書の筆跡は、本人の筆跡に似ておりますので、何かの誤解ではないかと考えております」
そして謝罪文の公表が遅れたことについては「聴力の問題、音楽的な経歴の詐称の問題、さらには本人が被爆二世であるか等、当初、当職らにおいて把握していなかった、別の問題についての疑問点が次々と指摘されるようになったので」予定されていた謝罪文の公表を延期、本人からの事情聴取を重ねてきたという。
佐村河内氏が「ようやく気持ちの整理がついたということで、近々、公の場で謝罪したいという決意を固めております」として、目下、具体的な日程や場所を煮詰めているという。