海老蔵「利休-」原作者の死を悼む
作家の山本兼一氏が13日午前3時10分、肺腺がんのため57歳で亡くなり、氏の直木賞受賞作を映画化した「利休にたずねよ」で主演した歌舞伎俳優の市川海老蔵がその死を悼んだ。
海老蔵は13日午後2時46分更新の公式ブログで「さきほど…連絡がありまして…利休にたずねよ。原作者の山本兼一先生がお亡くなりになったと私のところに…」とその死を伝えた。
利休役を海老蔵に、と指名したのが山本氏だった。海老蔵は何度も断った。しかし「先生は何度も何度もお手紙を下さり私に利休をやって欲しいと言ってくださいました…」。
なぜ?そう思って原作を読んだところ、「今までのイメージにある厳格で完成された利休居士というよりも…パッション情熱的な部分や若い頃の放蕩息子である部分なども書かれていまして…」。山本氏の“利休世界”を、海老蔵はだんだん理解していった。
山本氏とのやりとりを重ねているさなか「あの事件もありまして…そんなことがあったにもかかわらず変わらぬオファーを私に…私も心が動きまして出演させていただくことになったという経緯があるわけで…」。世間を騒がせた六本木事件の渦中にあった海老蔵に、山本氏は変わらず出演要請し続け、ついに海老蔵も首を縦に振った。
映画には昨年2月に亡くなった父・団十郎も利休の師・武野紹鷗役で特別出演した。「父との最後の共演をさせてもらえたのもこの作品があったからこそなのです」と、そのことでも山本氏に感謝する。
海老蔵にとって「利休にたずねよ」は特別な映画、山本氏は特別な作家だった。