また1人渡鬼が…石井ふく子さんも哀悼

 ドラマ「赤い」シリーズや「ザ・ガードマン」、近年では「渡る世間は鬼ばかり」「ごくせん」シリーズなどに出演した昭和を代表する俳優・宇津井健さんが14日、慢性呼吸不全のため、亡くなった。82歳だった。「渡鬼」ファミリーがまた1人、帰らぬ人となった。石井ふく子プロデューサー(87)は14日夜、TBSを通じ、「『残念』なんていう言葉は通り越しています」と哀悼のコメントを発表した。

 宇津井さんは、体調不良で降板した藤岡琢也さんに代わり、06年2月から、岡倉大吉役を演じてきた。

 その藤岡さんは、慢性腎不全のため、06年10月に亡くなった。10年9月には、宇津井さん演じる大吉が思いを寄せた怜子役の池内淳子さんがこの世を去った。大吉の姉・珠子を演じた森光子さんは12年11月、92歳で亡くなった。

 「渡鬼」シリーズの石井プロデュサーが、最後に宇津井さんに会ったのは、昨年の12月。宇津井さんは当時、通院はしていたが「スポーティな格好で颯爽とされていて、療養中という印象はありませんでした」と振り返った。

 その後も時々、電話で話をしていたそうで、「また『渡る世間は鬼ばかり』をやるときまでには元気になりますから」という宇津井さんに、「何言っているんですか、もうお元気じゃないですか」というやりとりが、最後の会話になったという。

 石井さんは「ここ2、3日のうちに急にお悪くなられたようです」と明かし、「藤岡琢也さんの後に『大吉』役を快く引き受けていただいたとき、初めて会う5人姉妹から『お父さん、お帰りなさい』と声をかけられて、緊張がほぐれた時の宇津井さんの表情がとても印象的で今でも忘れられません。私の心の中には宇津井さんの笑顔がしっかりと残っています。『残念』なんていう言葉は通り越しています。」と哀悼の意を表した。

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