渡辺淳一氏が死去 80歳 前立腺がん
「失楽園」「愛の流刑地」など男女の愛を描いた小説で知られる直木賞作家の渡辺淳一氏が前立腺がんのため、4月30日に東京都内の自宅で亡くなったことが5日、明らかになった。80歳だった。葬儀・告別式は家族で執り行った。喪主は妻敏子(としこ)さんが務めた。
渡辺氏は1933(昭和8)年北海道生まれ。札幌医科大学在学中から執筆を始め、卒業後は講師を務めながら小説を書いた。同大で起きた心臓移植事件を題材にした「小説心臓移植」を発表して話題に。その後、70(昭和45)年、「光と影」で直木賞を受賞し、医療や恋愛をテーマに多くの作品を執筆。
95(平成7)年に発表した「失楽園」は中年男女の不倫を描き、250万部を超すベストセラーに。映画化され、役所広司と黒木瞳の濃密な演技が注目を集めた。ドラマ化もされ、古谷一行と川島なお美のコンビも大きな話題になり、「失楽園ブーム」と呼ばれる一時期を築き、「失楽園」は流行語大賞に選ばれた。ほかにも恋愛小説に「ひとひらの雪」「化身」などがある。
海外でも翻訳され、中国では大きな支持を集めた。