「美味しんぼ」大阪被害説のナゾを追う

 東京電力福島第1原発を訪問した主人公らが鼻血を出す描写が物議を醸している漫画「美味しんぼ」が、12日発売の週刊ビッグコミックスピリッツ最新号で、昨秋まで東日本大震災の廃棄物の受け入れ・焼却処分を行った大阪市でも焼却場近くで約8割の住民が健康不調を訴えている旨の説明表現を掲載した。大阪市は事実関係を否定し、掲載誌を発行する小学館に抗議文を送付。橋下徹市長(44)は「漫画でもやりすぎ。作者が取材に基づいていると言ってるので、事実なら根拠を示してほしい」と要求した。

 この騒動に関連し、一部ネット上では当該焼却場がある同市此花区北港の臨海人工島に「そもそも住民はいるの?」、大阪市が復興支援で受け入れた廃棄物は「岩手県のものだったのでは?」との指摘が上がっている。

 これに対し、同市環境局や此花区役所は「漫画でどこまでを“近くの住民”と言っているのか分からないが」としたうえで「少なくとも人工島には流通センターなどはあるが、住宅地と呼べるエリアは存在しないとの認識です」と回答した。これまでに此花区内でも健康被害に関する事実は確認していないとした。

 また橋下市長の会見では、報道陣からも「受け入れた廃棄物は岩手県のものだったのでは?」との質問が飛んだ。これに橋下市長は「ええそうなんです(原発近くと)違うんですよ」と返したが、ただし「岩手だから安心だと言うと、じゃあ福島は問題なのか、という話につながってしまうし…」と反論材料にはできないことを漏らした。

 12日発売の同誌に掲載された「美味しんぼ」では、福島県の前双葉町長らが主人公らに「大阪で、受け入れたガレキを処理する焼却場の近くに住む住民1000人ほどを対象に、お母さんたちが調査したところ」として「放射線だけの影響と断定はできませんが、眼や呼吸器系の症状が出ています」「鼻血、眼、のどや皮膚などに、不快な症状を訴える人が約800人もあったのです」と説明するなどしている。

 原作者側が完全フィクションを認めれば落着するが、橋下市長は「事実なら大問題だし、作者は『真実を伝えたい』と言っているし」と困った様子だった。

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