橋下市長「フィクションと証明された」
人気漫画「美味しんぼ」が東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが鼻血を出すシーンなどを描いて物議を醸した問題で、掲載誌の「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)が19日発売の最新号で、健康影響が描写された福島県や大阪府・市などの反論を含めた特集を掲載した。
これに対して大阪市の橋下徹市長(44)は同日、「フェアな形で掲載され、根拠のないフィクションの中での主張だったこともはっきりした。後は読者の判断」との見解を示した。
同漫画では昨秋まで震災復興支援で岩手県の震災廃棄物処理を受け入れ、焼却処理を行った大阪市の焼却場近くでも、近隣住民に健康影響が出ている旨の説明表現があった。
今回の小学館側の対応に、橋下市長は「言論の自由への圧力ではなく、言論に対し我々も言論で対抗した。十分じゃないか」と述べた。
ただし漫画の表現方法に関しては「医学的、事実的にも根拠が薄い中で、いきなり鼻血が出た絵を用いたのは、僕は問題があると思う」と苦言を呈し「美味しんぼという影響力ある漫画は、ネットの書き込みじゃないんだから、根拠が薄い中で、あたかもそれ(健康影響)が事実のように伝えるのか、噂が流れているというレベルに止めるのか、いろんな表現方法、配慮があったはず」と指摘した。
今回の特集では小学館側から健康影響についての具体的な事実根拠の提示はなかった。これに橋下市長は「きちっと根拠を示すことができない状況にもなった。いいんじゃないか。フィクションの中での主張なら、それは表現の自由。読者も一定の納得感は得られているのでは」とした。
これまで作者の雁屋哲氏が、今回の連載を取材に基づく真実と主張していたことには「突っ込むことではないでしょう。作者の思ってる真実ですから。あくまで作者の主観ということでいいのでは」と語った。
橋下市長は幕引きの考えを示したうえで、改めて「事実は確認できていないが、あるのなら大問題。今後も指摘があれば行政として対処する」と述べた。