米朝 妻死去に涙…米團治が明かす
人間国宝の上方落語家・桂米朝(88)の「米朝落語全集 増補改訂版」(創元社)が20日発売の第八巻で完結し、30日、長男で落語家の桂米團治(55)が都内で会見した。
米朝は27日に妻で元女優の中川絹子さん(享年88)を心不全で亡くしたばかり。米團治は「さすがの米朝も泣いてましたね。感情を表に出さない人なんですが」と、父の傷心ぶりを明かした。
「全集」は上方落語では最大規模の全集で、33年ぶりに大幅増補、大改訂されたもの。第八巻には初公開の写真や昭和20年の病床日記などが収められ、米團治は「病床日記なんか読まれへん。小さい字で詰め詰めに書いてあるのを小澤さん(紘司氏。落語研究家)がよく解読していただきました。内容は濃いですね。米朝は落語を文学にした人。読むだけで映像が見えてくるように作ったつもり。第一級の資料だと自負しています」とPR。
全集の増補改訂を経て「下品なのを嫌いますね。艶話は好きなんですけど。だからうどんを食べる噺(はなし)はないです。構成に無理があるのも嫌う。『延陽伯』はここに入っていない。『わしゃ、あの噺は嫌いや。構成に無理がある』と」と、米朝の傾向を発見したという。
「僕が若い頃『延陽伯』をようやったんですが、『今日のお客はあの噺嫌いやねん』。やったら『このガキャ、ここまで言うとんのに』と、えらい怒られました」と、米朝のエピソードも明かした。