作家の柳美里さん（４６）が、出版社による原稿料未払いを自身のブログで公表している。１５日に、月刊誌「創」（創出版）で連載中のエッセー「今日のできごと」が休載されたことに触れ、その理由が「もう何年も原稿料が支払われていない」からだと明かした。

　先月、未払いの原稿料が振り込まれるまで、「今日の－」の連載執筆をしないことを同誌の篠田博之編集長に連絡したという。「創」誌上で休載についての説明がなく、読者に対して事情を説明するためにブログでの公表に踏み切ったとしている。

　篠田編集長は１７日未明に「創」のブログで、「柳さんの主張は正当です」、「プロの書き手として柳さんが言われていることは当然のことで、異論の余地はありません。早急に話し合いをし、対処したいと考えています」と非を認めた。

　また、「『創』はこの何年か、赤字が累積して厳しい状況が続き、制作費がまかなえなくなっています。その雑誌の赤字を個人で補填してきたわけですが、私はもともと会社からは報酬を得ていないので、補填するにも限界があり、いろいろな人に迷惑をかけるようになってしまいました」など、業績不振を原因に挙げている。

　これに対し、柳さんは「掲載した原稿に対して稿料を支払う、というのは、原稿執筆労働者に労働の対価を支払うということです」、「筆者に稿料を支払うことは（中略）労働の対価を支払うことです」としている。

　月刊「創」は７１年創刊で、主にマスメディアや報道、社会的影響の大きかった事件について特集を組んでいる。創出版はマスコミ企業就職志望者へ向けた「マスコミ就職読本」シリーズも発行している。