内田裕也 Cイーストウッド目指す
ロック歌手・内田裕也(74)が、80年代に脚本・主演を務めた2作品が上映された京都国際映画祭の席で「これからはクリント・イーストウッドを目指す」と、約10年ぶりに映画製作に挑む意向を示した。「笑い話になるかもしれませんけど、俺は言ったことは全部やってきた」と断言。過去に自身の作品に出演したビートたけし(67)の再登板を熱望した。
映画製作への意欲が再燃した理由について、内田は「渡辺謙に聞いた話に感動してね。今は80歳を超えたクリント・イーストウッドは70代以降もすばらしい作品を連打して、アカデミー賞監督賞を取った。作品一作ずつが本当にレベルアップしているという感じを受けた」と感銘を受けたことを明かした。
自身がかつて30歳代を、ザ・タイガースなどの後進のプロデュースに費やしたことを振り返り「一番大切な時に人のために尽くしたので、ロックの神様に今も元気で活動さしていただいてるんだと感謝してます」と衰えぬ挑戦欲を示した。
同映画祭では、上演された2作品の製作当時の苦労を裕也節で語った。映画「コミック雑誌なんかいらない!」は、当初、脚本を持って映画会社を回ったが、全く反応が得られなかったという。「それで落胆してたらカンヌ(映画祭)に呼んでもらって…15分もしたら(観客)半分だと思ってたら、最後はスタンディングオベーションでさ。忘れられない光景だね」。
映画「十階のモスキート」に関しても「偉い先生方に脚本を頼んでも、皆、内田裕也というと、引くんですよね」。このため「見てろ、このやろう。俺が書いてやるからと(脚本を)3日ぐらいで書いた」という。後に「本当に自分で書いたのか」と疑われ「ゴールデン街で乱闘になった」とのオマケ話も。映画製作の思い出と魅力を、なつかしそうに、うれしそうに話した。
「コミック-」の出演者にしても、ビートたけし、郷ひろみ、桃井かおりをはじめそうそうたる面々だが、いずれも「ロックンロールなギャラ」で出演依頼した経緯を明かし「意外なキャスティングでやるのが、ロックミュージシャンとして大事」と語った。
今後の構想について「やっぱりロックンロールのにおいを持ってる人とやりたい」といい、特にビートたけしに関しては「ともに刺激を受けながら、この世界に切り込んでいった。これからも出続けてほしい」と希望。
最後に内田にとってロックとは?と聞かれると「愛と青春の旅立ち」と返した。