「殉愛」訴訟、長女が「父汚された」
昨年1月に亡くなったやしきたかじんさんの長女が、たかじんさんの闘病生活を描いた百田尚樹氏(58)のノンフィクション「殉愛」が事実に反するとして、発売元の幻冬舎に出版差し止めなどを求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が21日、東京地裁で行われた。
原告側代理人の弁護士だけが出廷。原告側は長女の陳述書を用意していたが、被告側が姿勢を明確にしなかったため、提出を見送った。1月9日に幻冬舎側が提出した答弁書では、認否を留保している。
訴状によると、百田さんはやしきさんと一昨年10月に再婚した妻との闘病生活をまとめて「殉愛」を執筆、昨年11月に出版した。その中で、長女はやしきさんに金を無心するなどして確執があったと描かれている。
裁判長は「問題となる部分を別紙に書き出すように」と、どの記述が訴因のプライバシー侵害、名誉棄損、敬愛追慕の念の侵害にそれぞれ該当するのか、明確にするよう原告側に求めた。
閉廷後、取材に応じた代理人弁護士の説明によると、長女の陳述書には「何も知らない、父に会ったこともない、父に話も聞いたことのない著者がなんで」「本の中で金を無心しかしない卑しい娘という風に書かれ、これは違うという部分に付箋を貼っていったら付箋でいっぱいになった」「捏造された悪意に満ちたストーリー」「かけがえのない父への思いを汚された」との記述があるという。
長女側は「プライバシーの侵害」「名誉毀損(きそん)」「敬愛追慕の念の侵害」を主張している。次回公判は2月20日の予定。