たかじん氏長女「殉愛」は「捏造」
やしきたかじんさんの長女が、たかじんさんの闘病生活を描いた百田尚樹氏(58)のノンフィクション「殉愛」について、発売元の幻冬舎に出版差し止めなどを求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が21日、東京地裁で行われた。原告側代理人の弁護士だけが出廷。原告側は長女の陳述書を用意していたが、幻冬舎側が姿勢を明確にしなかったため、提出を見送った。
【代理人が明かした長女の陳述書要旨】
「私は(昨年)1月3日に父を亡くしました。子供の頃に母を亡くし、父は唯一の肉親でした。父のことが大好きでしたし、電話で何度もやり取りをしていました。心の中に父がいつも父が居る。私を思ってくれるという確信があり、それがわたしの何よりもの安心感でした。
父は私が滞在した中国の上海まで、私のことを心配して来てくれたり、人生の節目節目にはいつも相談に乗ってくれていました。離れて暮らしておりますが、父の思い、私の思いはお互いに十分に分かり合っていたと思います。
私は昨年父を亡くして以来、心の中にすっぽりと穴が空いたような喪失感に苦しみました。父のことを思い、喪に服する思いで静かに暮らしておりました。そんな時に突然『殉愛』が出版されました。この本を読んでビックリいたしました。闘病日記のようなものかと思っていましたが、あまりに真実からかけ離れた内容ばかりでした。
この本の中で私は父に金の無心しかしない卑しい娘にされております。真実でない箇所に付箋を貼っていくと本は付箋で埋め尽くされました。
何よりもショックだったのは父が私のことをどれだけ嫌っていたかということを強調している内容です。この記述は心の底をえぐられるような打撃をわたしに与えました。何も知らない、父に会ったこともない、父の話を聞いたことすらない著者がなんで私と父の大切な大切なつながりを土足で踏みにじるのでしょうか。
何の必要があり、何をもくろんで私を悪く言わなければならないのでしょうか。私たち親子に会ったこともない著者が、『2人の間には普通の父・娘のような交流はなかった』などと断定することが許されるのでしょうか。
私は父の闘病中も入院先を知ることができず、死に目に会うこともかないませんでした。たった1人の親が亡くなったのに、看取ることもできず、亡くなってから知らせが来たのです。すぐに父の元に行きましたが、冷たくなった父は何も語りかけて返事をしてくれることはありませんでした。
父とこのような残酷な別れ方をして、深く傷ついたわたしの心に追い打ちを掛けるように『殉愛』が出版されたのです。かけがえのない父への思いを汚され、わたしの心は張り裂けそうです。このようにねつ造された悪意に満ちたストーリーを25万人もの人が読まされ、誤解するかと思うとわたしはどんな顔をして街を歩けばいいのか途方に暮れて涙が止まりませんでした。
血のつながった一人娘が、いわれのない仕打ちを受けている今の状況を父と母が知ったら、どれほど悲しむのか、きっと天国から胸が張り裂ける思いで見ていると思います。私は裁判所に救済を求めるしか方策がありません。ぜひこの“ノンフィクション”の発売を止めさせて下さいますようお願い申し上げます。」