「クロ現」 VTR収録事務所を公開
昨年5月に放送されたNHKの報道番組「クローズアップ現代」など2番組が、やらせ行為で撮影したVTRを番組で使用したとされる疑惑で、多重債務者に出家詐欺を斡旋するブローカーの事務所として報じられ、VTR収録が行われた大阪市内の事務所で会社を経営する男性が3日、同所で会見し、室内を報道陣に公開した。
会社経営男性は「この事務所はそのような(ブローカーの事務所)場所ではない」と報道内容を否定し、自身が知らない間に無断使用されたと説明。NHKが「ブローカーの事務所」として報じたことに不快感をにじませた。
この事務所は大阪市のJR新大阪駅近くにあり、企業などが入居するビルの一室。会見したのは、この事務所で会社経営する40歳代の男性で、2年前から同所をビジネスの拠点として借りていた。
一連の問題は昨年4月に、大阪府内の飲食店店員の男性(50)=Aさん=が、知人男性=Xさん=に紹介されたNHK記者から演技指導を受け、同事務所を使用してブローカー役を演じるVTR収録に応じたところ、これが同年4月に「かんさい熱視線」、同年5月に「クローズアップ現代」で、本物のブローカー行為として報じられたと訴えている。
Aさんは、1日にNHKの聞き取り調査を受けたうえで、NHKに訂正報道を求めている。
この日、会見した会社経営男性の説明によると、撮影が行われた昨年4月当時は、同事務所はほとんど使用していない状況で、ビジネスで協力関係にあったXさんに、部屋の鍵を貸していたという。
同事務所がVTR撮影に使用されたことは今年になって、最初に疑惑を報じた週刊文春の取材を受けて初めて知ったという。当時、鍵を預けていたXさんに抗議したところ、Xさんは事務所をVTR収録に使用したことを認めて謝罪。週刊文春が疑惑を報じた後の3月下旬には、NHKから「ご迷惑をおかけしました」との謝罪電話があったという。
NHK側は一連の問題に関して「現在調査中」としているが、これまでにこの会社経営男性に対しては聞き取り調査などの打診はないという。
今回の証言によって、NHKが「真実」として報じた内容に対し、さらに疑念が深まる格好となった。会社経営男性は「早く問題を解決してほしい」と訴えた。