NHKやらせ疑惑 出演男性がコメント
昨年5月放送のNHK「クローズアップ現代 追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」など2番組でやらせ報道があったとされる疑惑で、9日にNHKが設置した調査委員会が行った中間調査発表を受け、NHK記者によって架空の出家詐欺ブローカー役で問題のVTRに出演させられたと訴えている大阪府内の飲食店店員男性(50)の代理人が声明を発表した。
報道各社に宛てたFAX書面で男性側は、NHKの中間発表について「各関係者の供述内容が明らかにされたことはポイントの明確化という意味で評価しておりますが、承服できない部分も多く存在しておりますので、内容を精査したうえで、今後の対応について改めて検討致します」とした。
男性側は昨年4月に知人男性を通じて紹介されたNHK記者の演技指導を受け、出家詐欺の斡旋ブローカー役を演じるVTR撮影に応じたところ、これが番組で本物のブローカーとして報じられたと訴え、訂正報道を求め、NHKの回答次第ではBPO(放送倫理・番組向上機構)への苦情申し立てを行うと予告していた。
この日の中間発表では、やらせに関してはこの男性と取材した記者らとの間で、証言の食い違いがみられた一方、取材上の裏付けが不十分で誤りがあった点や、不適切な構成、過剰演出などが浮き彫りとなった。
調査委は、男性がブローカー役を演じたと主張しているVTRは、事前交渉を行ったうえで撮影されたにも関わらず、番組では記者がブローカーの存在を突き止めてインタビューを行った形などになっており、適切さを欠いた構成で過剰演出の恐れを指摘した。
またこれまでに所有者も無断使用されたと訴えている、VTR撮影が行われた大阪市内のビルの1室に関しては、記者がこの場所の設定に関与しておらず、十分な裏付けがないまま番組内で「ブローカーの活動拠点」と紹介したとし、調査委は「誤り」と指摘した。
ただ男性が「記者からブローカー役を演じるように依頼された」「自分はブローカーでない」と主張している点に関しては、記者らの証言と食い違いがあるとし、NHKは「さらに事実関係を明らかにするため、調査を進める」とし、今月中に最終的な調査結果を発表することを明らかにした。