渡辺謙、ケリーに捧げた涙の裏側
トニー賞のミュージカル部門主演男優賞を逃した俳優の渡辺謙が8日(日本時間9日)、「王様と私」で共演し、主演女優賞に輝いたケリー・オハラについてツイッターでその「戦歴」を紹介し、「戦友」と称えた。
7日(日本時間8日)に行われた授賞式後の受賞スピーチで、ケリーが「渡辺謙は私の王様です」と壇上から感謝を捧げると、渡辺が目をうるませるひと幕があった。そんな涙の裏側には、渡辺の知るケリーのこれまでの歴史があった。
「中々報道されてませんが、アンナ役のケリーはこれまで6回ノミネートされて初授賞。これ六年間じゃ無いんです。こちらはロングランが普通ですから、10年も苦渋を飲まされてきたんです」
そんなケリーが積み重ねた「落選」の歴史を知るからこそ、壇上でスピーチするケリーの思いが渡辺に伝わってきたのだろう。
「王様と私」は、ケリーにとって特別な作品であったようだ。
渡辺は初日のカーテンコールの際のことを思い出す。「舞台袖で『本当にここに来てくれてありがとう』と言ってくれました。まさに戦友です」。だから自分は初落選したものの、ケリーの「6回目の正直」を心から喜んだ。
渡辺は授賞式後に発表したコメントで「ケリーの受賞の時には観客が本当に待ち望んでいた瞬間でスタンディングで迎えていました。それに少しでも貢献出来たのはこの作品に参加した大きな成果でした」と、ケリーの受賞シーンを描写してみせた。それはケリーと観客と、そして渡辺の思いが一つになったシーンだった。