佐藤浩市 号泣した妻からの手紙全文

娘役の北川景子から父の日の花束を手渡され、笑顔を見せる佐藤浩市(左)=東京・丸の内ピカデリー1(撮影・西岡正)
ファンに向かって手を振る(左から)朝原雄三監督、吉田羊、野村周平、樋口可南子、佐藤浩市、北川景子、杉咲花、柄本明=東京・丸の内ピカデリー1(撮影・西岡正)
樋口可南子(中)が代読する妻の手紙に感極まる佐藤浩市(右)=東京・丸の内ピカデリー1(撮影・西岡正)
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 俳優の佐藤浩市(54)が20日、都内で主演映画「愛を積むひと」の初日舞台あいさつに登場し、愛妻からの手紙に、感極まり涙を流した。全文は以下の通り。

   ◆◆◆◆  

 浩市さん。心臓が飛び出るくらい、ビックリしている事と思います。スミマセン…。

 私は、この作品を観るのが、今日で3回目。きっとまた、客席で号泣していると思います。

 もし自分が夫よりも先に旅立つことになったら、ふとそんなことを考えてしまいました。

 良子さんのように大きな愛を持ったウソを、浩市さんや息子たちに突き通せるでしょうか?最後まで、あんなに強く凜としていられるでしょうか?罪を犯した若者を、大きな愛で許せるでしょうか?

 そして、自分がいなくなった後を想像し、あんなに優しい手紙を書くことができるでしょうか?

 私には、とても自信がありません。

 結婚した当初、身体があまり丈夫でない私は、「自分が死んだら、保険金で、好きな映画を作ってね」と、あなたに言ったことがありました。

 勿論、当時は、まだ若く、死という存在が遠くにありました。でも、自分が浩市さんよりも、先に逝ってしまうような気がしたのは、本当です。

 今の私は違います。

 篤史さんと似ていて、役者の仕事しかできない浩市さん。あなたを残して旅たつ事は、家族は勿論、事務所のマネージャーさん映画関係者の皆様に、とてつもないご迷惑をおかけする事になり、それを思うととても、先に逝くことなど出来ません。

 この作品を通じて命には限りがあるということを、痛感しました。当たり前の日常が、突然無くなる事もあるということも。

 その時、後悔しないように、健康を大事に、大切な家族や大切な方達との時間を、丁寧に過ごしたいと思います。

 23年前に浩市さんから頂いたお手紙にあった「僕は一生あなたの味方です」ということばを、今も忘れません。私の一番の味方は、浩市さんです。

 だからどんな困難も乗り越えていけます。

 これからも、家族でいろんな形の愛を積み上げて、沢山の笑顔につなげていきましょうね。

 【愛を積むひと】は、ご夫婦は勿論、恋人達、子どもの立場から、そして迷える若者と、幅広い層のお客様の心に残る作品だと思います。1人でも多くの方に観ていただいて、もう一度、大切な方と人生を見つめ直す、ひとつのきっかけになるといいな、と思います。

 浩市さん、私は浩市さんを1人にしないように、浩市さんよりも1日でも長く生きる事を、約束します。

 (原文ママ)

 篤史…作中の佐藤浩市。良子…作中の樋口可南子。2人は夫婦を演じた。

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