リリー&塚本監督が日本映画界斬った!

語り合う(左から)森優作、リリー・フランキー、塚本晋也監督=東京・渋谷(C)渡邉俊夫
イベントに参加した(左から)石川忠、リリー・フランキー、中村達也、塚本晋也監督、森優作=東京・渋谷(C)渡邉俊夫
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 昨年のベネチア国際映画際に出品され、リアルな戦場描写が海外で話題を呼んだ映画『野火』の「爆激上映&轟音ライブ」が1日、都内で行われた。今月25日の日本公開(東京・ユーロスペースなど)を前に、主演も務めた塚本晋也監督(55)、共演者のリリー・フランキー(51)らがトークライブを行った。

 映画「野火」は、戦争の極限状況における悲惨さ、残酷さ、不条理さを描いた大岡昇平の小説が原作。1959年に市川崑監督が船越英二主演で映画化しているが、今作はベネチア映画祭で審査員を務めるなど、世界的な評価が高い塚本監督が限られた予算の中、今、本当に作りたい作品として生み出した。

 怪演のリリーは「今(日本の)映画では血が出ちゃダメとか、事実じゃない部分しか描かれない」と指摘。塚本監督も「口に血を付けて名言を残して死んでいくなんてヒロイズムをあおるような(戦争)映画が作られているが、死って、そんな甘美なものじゃなく、“物”になってしまうこと」と、自作を貫く徹底したリアリズムの姿勢を明かした。リリーは「うすぼんやりした世の中で、この映画を体験できて痛快だった」と喝采を送った。

 さらに共演者で元ブランキー・ジェット・シティのドラマー、中村達也(50)が熟練のドラム演奏を豪快に披露。「野火」は超満員札止めとなった、スタンディングのライブハウスで上映された。

 塚本監督は「20年前から立派な監督になって、お金も稼いで作りたいと思ってきた映画です。立派な監督にも、お金持ちにもなれなかったが、世の中がきな臭くなっている今こそ作らなければマズイと思った。多くのボランティアの人たちに助けられて作りました」と思いを吐露した。

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