倍賞千恵子、川島さん葬儀で弔辞
9月24日に胆管がんのため54歳で亡くなった女優・川島なお美さんの葬儀・告別式が2日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれ、川島さんが尊敬し、親交のあった女優の倍賞千恵子(74)が、弔辞を読んだ。
倍賞は祭壇の遺影に向かうと「はぁ」と深いため息をつき「なお美さん、突然いなくなったあなたに私はどう話しかけていいのか」と問いかけた。
倍賞は、川島さんが死去した24日夜に対面したことを振り返り「あなたの逝ってしまった夜、今までと変わらない美しいあなたの顔を見て、ほほを触って、手を握って、あの夜からきょうまで、そして今も、あなたは私のそばにいるような気がしているよ」と話した。
さらに「最初にちゃんと会った時」という友人の結婚式後に、倍賞の自宅で会ったことを回想。「あなたのずいぶん印象が違ったことを覚えているよ。トシ(夫の鎧塚俊彦氏)が酔ってしまって、そのときのあなたは素晴らしかった。女優・川島なお美の本当の一面を見た気がしました。古風な日本女性がなお美ちゃんの中に住んでいたのね」と話した。
それをきっかけに深めた倍賞と川島さんとの交遊。「軽井沢の別荘にお邪魔したときに、部屋に入ったらかわいらしいメッセージ。その気遣いが本当にうれしかったよ。ショッピングでおそろいで買ったスパッツ。舞台の稽古で履くからって、楽しかったね。次の日の朝食はどういうわけか、おそば。私たちおそば大好きだから考えてくれたのね。あなたはフォークとナイフで器用におそばを食べてました」と声をふるわせた。
その後、昨夏に、川島さんが北海道の倍賞の自宅を訪問したことに触れ「去年の夏、(愛犬の)シナモンとココに緑の上を走らせたいからと北海道の我が家に来た。あのとき、あなたは自分の命のことを知っていたの?クローバーの上にシナモンとココと大の字になって『ああ、気持ちいい』って叫んでいたあなた。チョウチョのようにヒラリヒラリと走り回っていたあなた。本当に楽しそうで美しかったよ」とも語った。
続いて、最後まで女優としての自身を保つことに執念を燃やした川島さんの様子を紹介した。
「最後に電話で話したとき、私、本当に何も知らなかったの。ごめんなさいね。本当に苦しそうにせきをしているあなたに、『なお美ちゃんそんなに頑張らなくていいんだよ』といったら、『千恵さん、だって私、女優だもの』って。私が『じゃあ、頑張らないように頑張って』と言ったら『うん、分かった。頑張らないようにして頑張る。女優だから』と」
最後は「なお美ちゃん、あなた本当にいなくなっちゃうのね。あなたは本当にいつもキラキラしていて、一生懸命精いっぱい生きていました。そして限られた命を最後まで使い切ったのね。もっともっとやりたいこと、いっぱいあったでしょう。いつも何でも一生懸命心を込めてやっていたあなたが、私は大好きだったよ」と呼びかけると、改めて遺影に向き合い「最後まで自分の意志を貫き、最善の道を自分で選んで生き抜いた川島なお美に、尊敬と感謝と限りない愛を込めて。女優・川島なお美さま」としめくくった。