宝塚月組新人公演 一際目立つ美貌

 元プロ野球南海で最多勝投手として活躍した山内和宏氏(58)の次女で宝塚歌劇団月組の暁千星(あかつき・ちせい)が1日、兵庫県の宝塚大劇場で行われた新人公演「舞音~MANON~」で陰のある男役に挑戦した。

 暁が演じたのはヒロインの兄で、お金のためなら悪事もいとわない非情な男。愛人の子どもという生い立ちから来る悲しみを背負い、最後はあっけなく殺されてしまう。本公演では2番手の珠城りょうが演じた。愛くるしい顔立ちの暁だが、今回は笑顔を封印し、陰のある男役に体当たりで挑戦。新たな魅力を引き出していた。

 また故夏目雅子さんの姪で、プロゴルファー小達敏昭(47)の娘で、初舞台から2年目の風間柚乃(かざま・ゆの)は祖国独立を願う闘士を演じた。大勢の民衆役のなかでもひときわ目立つ美貌で、セリフもよく通り、将来性を感じさせた。

 主演の朝美絢(あさみ・じゅん)は初舞台から7年目で、これが最後の新人公演となる。「集中しすぎてセリフが飛んでしまいました」と苦笑い。それでも的確な芝居と存在感で、グイグイと芝居をひっぱり、新人公演の“長”としての役割も十分に果たしていた。本役の月組トップスター龍真咲(りゅう・まさき)からは「最後なんだから思い切って」とアドバイスされた。「歌の稽古にも遅くまで付き合っていただきました」と感謝を表していた。

 またヒロインのマノン役には叶羽時(かのは・とき)が体当たり。本公演では“もう一人のマノン”として、マノンの心情を演じているだけに「本公演では色っぽく演じていますが、今回マノンを演じたことで一つにつながりました」と笑顔を見せていた。

 新人公演は初舞台から7年目までの生徒で上演されるスター育成の舞台。暁は今年4年目で、昨年の「明日への指針」以来2度目の主演となった。今回は日本初上演となるフランスミュージカルで、1本物の大作。通常は1幕と2幕の合間に休憩が挟まれるが、今回は新人公演バージョンとして1時間50分通して上演された。

 暁もほぼ出突っ張りで、通常以上に曲目も多く、ハードな舞台となった。「1時間50分は体力的にもハードでした。こんなに歌わせていただくのも初めてで、配分とかがわからず大変でした」と振り返った。

 宝塚歌劇団に首席入団した実力派で、172センチの舞台映えする容姿も魅力のひとつ。本公演ではトップ娘役・愛希れいかの恋人のフェルゼン役に抜擢されるなど、歌劇団期待の新進スター。父親譲りの度胸の良さで、チャンスを着実にものにしてきた。

 今回は難曲ぞろいのミュージカルだが、期待に応え堂々の舞台を見せた。「出来たと思ったら、そこで成長が終わると思うし、自分は出来ないことばかり。低音も課題だし、もっと努力して東京公演につなげたい」とさらなる成長を誓っていた。

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