落語芸術協会新真打ち昇進会見
落語芸術協会所属で5月に真打ちに昇進する講談師の神田きらり改メ神田鯉栄(42)、落語家の橘ノ圓満(52)、三笑亭可女次改メ三笑亭可風(41)が24日、東京・浅草でお披露目された。
鯉栄は実家が旅行会社で、後を継ぐため添乗員を務めていた際、話芸を磨こうと浅草演芸場に行ったのをきっかけに講談の道へ。東日本大震災の時は前職で学んだ災害対処法を生かして上野広小路亭で誘導を行い、協会からご祝儀が出たこともある。新たな芸名のうち「栄」は、「後を継ぐ約束だったので、ちょっとでも貢献したい」と、実家の旅行会社から取った。
どんなに混んでいる居酒屋でも必ず店員が呼べるという声の大きさと、「女性には珍しい」(師匠の神田松鯉)という巻き舌が武器。「講談はもともと男のもの」とあって、性転換しようと松鯉に相談し「親御さんから預かっている娘さんなのでやめてくれ」と却下されたほど意欲的で、「女だからこそ表現できる男の美学がきっとあると思う。そういうところを詰めていく講談師になりたい」と意気込んだ。
三代続く江戸っ子で、4歳の時からの芸事好きながら入門は38歳と遅かった圓満は、師匠・三遊亭圓馬との年齢差がわずか4歳。2014年に死去した前の師匠である故橘ノ圓さんのように「いるだけで周りが明るく」なり、協会の桂歌丸会長(79)のように「古典がしっかりできる」落語家が目標だ。
可風は故古今亭志ん馬さんに入門したものの、4カ月後に師匠が死去して廃業。小笠原諸島の父島でウミガメの調査をしたり、インドやバングラデシュを放浪したりした後、三笑亭可楽(79)に入門した変わり種だ。
「廃業しましたが落語はずっとやっていきたい気持ちがありました。尊敬できる師匠に出会えて今とても幸せ」と持ち上げ、可楽も「いいこと言うよな」とゴキゲンに。実際、目の不自由な可楽の手を取って座席に誘導するなどかいがいしく世話を焼いていた。
歌丸は会長として、「うまい落語家にならなくてもいい、面白い落語家になってほしい。講談は、わかりやすい講談をやってほしい」と、新真打ちの3人を激励していた。
真打ち昇進披露興行は5月1日の東京・新宿末廣亭から。