つんく♂の近大入学式祝辞全文

 喉頭がんで声帯を全摘出した歌手で音楽プロデューサーのつんく♂(47)が2日、母校・近畿大学(大阪府東大阪市)の入学式に登場した。式では手紙形式で祝辞が述べられ、モニターに文字が映し出された。

 ◇  ◇

 本日、近畿大学へご入学のみなさん、本当におめでとうございます!

 オープニングでも登場させていただきましたが、改めまして。この大学の卒業生でもあり、今日のこの入学式をプロデュースさせていただきましたつんく♂です。

 私は昨年この場で発表しましたように病気で声帯を摘出いたしましたので、今年も祝辞がお手紙形式であること、どうぞご理解くださいませ。

 さて私が近畿大学の入学式をプロデュースして早3年。

 毎年毎年「他の大学に類を見ない画期的な入学式」ということを合い言葉に取り組んでまいりましたが、今年のテーマは「Produce Your Future!」

 自分の未来は自分でプロデュースしてもらいたいなという思いを込めております。

 私もこの大学を卒業した身ですが、この大学に入って1回生の時こう思いました。

 「大学在学中にバンドマンとしてプロになる道筋を作る!絶対日本一のミュージシャンになるんだ。」と。

 そして2回生の時にシャ乱Qを結成。そこからはプロ目指して日本一目指して、ありとあらゆる事をしてバンドを成長させていきました。

 やがて、大阪でバンドをやってる仲間たちの間では「シャ乱Qを知らない奴はいない」とまで言われるようになり、大学卒業後、上京。1992年、プロデビューに至りました。

 そこからも紆余曲折はありましたが、結果的にはオリコンでも全国ランキング1位を獲得することが出来、NHK紅白歌合戦にも出場させていただき、その後、音楽プロデューサーとしても3年連続でシングル曲における作詞家部門&作曲家部門ランキングで年間1位になるという実績を残すことが出来ました。

 「やった!目指してた日本一になったぞ!目指せばなんとかなるやん!」

 そう思える瞬間に出会えたわけです。

 でも47歳の今になって思うことがひとつあります。

 それは「なぜあの大学1回生の時、『よし!世界一になるぞ!』って思わなかったのか」という事です。

 見て下さい。この近畿大学は世界で初めてクロマグロの完全養殖を成功させています。

 「なんやマグロか」って思うかもしれませんが、世界一とか世界初って本当にすごい事だ思います。

 「1番なんて無理」そう思わずに、自分の好きな事、興味ある事、ジャンルや内容はなんでも良いんだと思います。

 大学在学中に、勉強はもちろん遊びでもファッションでもスポーツでも何でもいいから自分的に「コレだ」というものを見つけて、進んで行ってほしいなと思います。

 私も今からみなさんに負けないように、広く世の中に発信していけるようなアーティストに成長したいと思います。

 人生なんて気持ち次第。

 「ああよかったな」と思うか「全然ダメだった」と思うか、それも自分次第ですね。

 例えば、事業で成功したように見えても「ああ、不幸だ」と感じている人もいれば、厳しい逆境と向き合う中でも「ああ、幸せだ」と感じている人、世の中にはいろんな人がいるでしょうか、心の中は自分で決めるもの。

 私は心の中が「幸せ」でありたいです。

 だから、最後にみなさんに伝えたい事は「私は本当にこの大学に入って、そして卒業してよかったな」ということ。

 今日、みなさんにこうやって出会えた事も含め、近畿大学生であった事を心から誇りに感じ、今、この瞬間の楽しんでおります。

 昨年も述べましたが、私にしか出来ないこと、そしてこんな私だから出来ること、これらをテーマに私自身の未来をプロデュースしていかなければなと思っております。

 だからみなさんもProduce Your Future!自分をプロデュースする事を楽しんでください!!

 今日は本当におめでとう!新入生に栄光あれ!

 2016年4月2日

 近畿大学入学式総合プロデューサー つんく♂

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