【ボート】一番勢いがある吉田拡郎

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 8月も中盤を過ぎ、年末のグランプリの椅子を巡る争いも、ジワリと熱気を帯びてきている。現在の賞金ランクはSGの福岡オールスター(笹川賞)と浜名湖グラチャンを連覇した菊地孝平が首位。2位に尼崎クラシック(総理大臣杯)とG1V2の王者・松井繁が続く。そんな中、今回注目するのは3位につける吉田拡郎だ。

 昨年まではSG&G1のタイトルには、手が届きそうでなかなか届かないといった位置づけだった。しかし今年の吉田は違う。4月G1大村周年、7月SGまるがめオーシャンカップと、ダブルで初制覇を成し遂げたのだ。しかも共に優勝戦1号艇で勝ち取ったものだけに価値も高い。

 1、2月はイマイチ波に乗れなかったが、「3月あたりから、今年がダメなら後がないという強い気持ちで臨むようになった」と言うように、3月のとこなめ一般戦で今年初Vを飾ってから、一気に様相が変わった。続く戸田タイトル戦で連続Vを果たし、前述の大村周年Vで3節連続優勝と勢いに乗った。そして5月桐生で早くも今年V4を達成した。

 そんな吉田に、さらなる追い風が吹いたのが7月の宮島MB大賞だ。前操者の山田豊のペラが大きなヒントを与えた。「去年の夏はいいゲージを持ってなくて苦しんだ。でも山田豊さんのペラを参考にしたらすごく良くなった。これでこの夏は乗り切れます」と、確かな手応えを味方に豪快まくりでV。この優勝から、まるがめオーシャンカップ↓徳山一般戦と勝利し、今年2度目となる3節連続優勝を飾った。

 「気持ちを入れても空回りすることなく、いいリズムを保っている」と話すように、新期を迎えた5月以降は、参戦した10節中、浜名湖グラチャンを除く9節で優出(V4)と驚異的な成績を残す。V7という結果と同様に、この高いレベルでの安定感が今年の吉田のすごさだ。

 今月末の若松ボートレースメモリアルではSG連覇がかかるが「このレースは選んでいただいての出場なので、その思いに応えるように走りたい」と変な気負いはなく、いつも通りの“自然体”で臨む様子だ。そして「ここまでは権利を獲るために必死だったけど、これからは少しでも優位な立場で年末を迎えられるように賞金を加算していきたい」と、視線の先にはしっかりと年末の大一番をとらえている。

 「狙うのは金のヘルメットだけ」と力強く語った顔を見て、年末の平和島、黄金のヘルメットをかぶった吉田のガッツポーズシーンがしっかりと思い描けた。(関西ボート担当・上村武馬)

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